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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.18 年度の始まりに社員の成長を思う 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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こんにちは、佐藤勝人です。新年度が始まって半月経ちましたね。そろそろ社内の雰囲気も落ち着いてきましたか? なになに、新人と古株社員のあいだで、いい具合に化学反応が起きて、うんうん、手応えを感じたと。――へえー、そりゃよかったね。でもね、そんなきれいな話だけじゃ終わらないと思うよ。これからいろんな問題が出てくると思うよ(笑)。いきなり冒頭から怖がらせたいわけじゃないけれども、今回は時期的にそういう話から・・・。
 
 

採用に“らしさ”は無用
その後の教育にこだわれ

 
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平成30年度新卒入社式。みんなの成長を応援するぞー!
同級生で高校の教師をしている友人がいて、彼が言うには、今はいわゆる不良なんかいないんだって。流行らないんだそうだよ。カッコ悪いから。しかも、みんな空気を読むのがうまい。だからみんないい子。誰が尖った意見を持ってるとか光るものを持ってるとか、そういうことが、見た目じゃ全然わかんない。直接話してこっちが引き出してあげるしかないんだって。
 
そのせいか、いま、中小企業向けの採用コンサルティングが流行っているそうだ。「うちに合う人材を採りたい。うちらしい人材に来てほしい」という社長の声をとらえて、「サポートします。全面的にお任せください」とやるわけだね。それこそ今の時期から来春採用する人材の目星をつけて、会社説明会から何から全部お膳立てして、丸一年かけてその子を採用させるらしい。一種のあっせん業だ。
 
ただねぇ、・・・あんまり意味ないと思うよ。だって今の子は1年ぐらい平気で空気を読んで合わせるから。だからサトーカメラの場合、選考段階でうちに合うかどうかなんて気にしません。その代わり採用してから鍛え直します。教育を徹底します。
 
今年は3月の29日と30日に新人研修が本部であって、例年なら私はこの時期中国に行っているんだけど、今年は日本にいたからカリキュラムの最後の講義を担当しました。今年の新人は絵本作家はいるわ、親日家の台湾人がいるわで多士済々だ。でも、後で新人研修責任者に聞いたら、彼的には不満らしいんだよね。うちらしい人材がいないって。
 
私はそれを聞いて、彼もまだわかってないな、型にはめようとしてるな、と思った。私も以前は彼の立場だったからそうなるのはよくわかる。けど、自分たち“らしさ”にこだわっていると同じタイプの人材しか採れなくなる。あるいは社長や人事権者の好みの人材に偏ってしまう。3年先も読めない今の時代にそれはむしろ危険だ。中小企業は特にそうだ。
 
それよりも、キャベツがいるわ玉ねぎがいるわジャガイモがいるわでいろんな人材が入ってきてくれたほうがいい。そのほうがこっちも料理のしがいがあるってもんだ。
 
 

無意味な軋轢を生まないための
本部による効果的な介入とは

 
ただ、現場はなかなかそうは思わない。もっと正確にいえば、思えない。脳科学者の茂木健一郎さんが「村社会」という言葉で言っていたけど、日本人は特に、これは組織の基本病理みたいなもので、基本的に新人はイジメられます。異分子は既存の社員にイジメられます。特に、若いだけで仕事ができない先輩社員がイジメます。だって、自分より若い子が入ってきたら、今まで自分に向けられていた寵愛が奪われるからね。実際には全然そんなことはなくて、会社は単純に仕事ができるやつが好きなだけで、成長に背を向けていた姿勢を改めてその子も頑張ってくれればいいだけなんだけど、そうは受け取らないんだよなぁ。哀しいかな。
 
だから、上層部は新人を教育するだけではダメだ。彼ら彼女らを迎え入れる現場のほうも教育しなきゃいけない。これは皆さんの会社でも同じだと思います。その点を指摘したうえで、じゃあどうするかだけど・・・。
 
サトーカメラの場合、具体的には各店舗のキャプテン(店長)の認識を変えさせます。そのまま送り込んだって認められるはずがないよ。仕事も何もまだできないんだから。なので、その新人のどういうところに見込みがあるかを本部がキャプテンに教え込みます。特に今の子は、私はこれこれに自信があります! なんてことは自分からは言わないし、言えないから。また昔であれば、仮に本人がそう言わなくても、店長クラスの人間がそいつの態度や言動を見ていれば1つや2つ光る部分が見つかったけど、今は難しい。やっぱり本部が教えてあげないといけない。
 
サトーカメラにもう勤続20年になる湯澤取締役がいて、一昨年だったかな、入社当時の彼にそっくりの新人が入ってきた。現場で彼の接客を初めて見たときにビックリしちゃってね。何が似てるかって、お客さんへの食い込み方が尋常じゃないのよ。普通新人の接客っていったら、お客さんの横からちょっと声をかけて、あとはあんまり手出しせず、というかできない感じで脇に控えてご案内するんだけど、彼はいきなり、最初から、お客さんの顔の前に自分の顔を回り込ませるようにして接客することができていた。商人としての才能というかな、究極的には親御さんの教育がよかったんだろうけど、人に対する姿勢がまっすぐで一所懸命で、あれは教えてできることじゃない。だから、それを見て以来、私はずっと「あいつは伸びる! 絶対辞めさせるな!」と公言しています。
 
 

才能と実力を秘めた人材は
良さを認めて成長を信じる

 
20年前の湯澤取締役もそうだった。高卒で入社してきた当初から、いきなりお客さんのふところに飛び込んでいっていた。私もそういうのは得意だったけど湯澤君はそれ以上だった。だから彼に対しても私は、「将来私を抜くのはキミしかいない」と言い続けてきました。途中何度も辞めたいと言ってきたけど、そのたびに辞めさせずに彼のやりたいようにやらせてきました。そうしたら彼も頑張ってみるみる成長して、今では誰もが認める実力者の取締役になっています。
 
人の成長ってそうなんだよ。誰かがその人の良さを認めて信じてあげないといけないんだ。いつだったかな、割と最近だと思うけど、一昨年入社したその彼も辞めたいと言ってきましたよ。「店を移らせてもらうか辞めるか、どっちかしかないです」って。私は彼に言いました。「俺はお前を辞めさせないよ。お前が商人としての力を持ってるのがわかってるから。力がないやつの我儘はダメだけど、お前は20年前の湯澤取締役にそっくりなんだ。絶対あんなふうに成長できる。だから辞めるな! 頑張れ!」って。それから彼は店を異動して、今はメチャ売り上げています。
 
最初のうち湯澤取締役は、私が彼のことを「昔のお前とそっくりだ」と言うと、「僕あんななよなよしてなかったですよ」なんて言って受け入れようとしなかった。でも最近は、湯澤君のほうでも彼の頑張りを認めはじめたんだろうね。一緒にされることに文句を言わなくなった。けっこう抵抗してたのに、おもしろいよね(笑)。
 
違う人間どうしが集まって同じ職場で仕事をしていれば問題は必ず起きます。人間関係がもつれたり、実力的に壁にぶつかって伸び悩んだり。でも、だからといって変にナーバスになる必要はない。一つひとつ現実的に対処しながら各人の成長を信じて指導するだけだ。皆さんの会社もそれぞれの従業員が成長しますように。そして皆さん自身も成長できますように。新年度の始まりに際し、エールを送ります。
 
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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.18 年度の始まりに社員の成長を思う

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2018.4.18)
 

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