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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.14 可愛い我が子。だからこそ苦労を経験させろ 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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こんにちは、佐藤勝人です。とうとう12月。もう年末だね。皆さんの2017年はどうでしたか。いろんな経験をされたと思います。いろんな苦労もされたと思います。それらを全部来年の糧にしてほしいという意味で、今年の連載は“経験”の話で〆ましょう。
 
 

自分よりラクをさせた子が自分より上に行けるはずがない

 
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11月の中国出張時。成長した勇士社長と
先月の28日のことだ。サトーカメラ法人営業部の仕事で、栃木県立宇都宮女子高等学校の「親子学」セミナーに行ってきた。演題は「日本でいちばん楽しそうな子供たち ~個々の自我×打算×調和を受容する~」だ。宇女高といえば県下No.1の名門女子進学校。そこのPTAの皆さんと先生方に向けてたっぷり1時間半、私の子育て論をぶってきたわけなんだが――。
 
今に始まったことじゃないのですが、どこへ行っても感じることは、親が子育てで大事なものを勘違いしているんじゃないかな。特に進学校あたりになると親御さんは仕事を頑張っていて立派な方が多い。そこで話を聞くと皆さん、「子どもにはラクをさせたい。かわいそうだから苦労はさせたくない。将来は家の事業を継ぐか、安定した、普通の、公務員にでもなってもらって・・・」みたいなことを言っている。その延長で、「子どもには自分の好きなようにさせてあげたい。その環境をつくってやるのが親の役割だ」なんて言っている。要は、腫れ物に触るみたいな子育てになってしまっている。
 
でも、悪いけど、好きでラクなことだけして成功した人なんて、見たことないからね。「これからは知識と情報で勝つ時代だ!」と言っているホリエモンですら、実は人に見えないところでいろんな苦労を経験していますよ。どの世界も同じ。知識や情報だけじゃどうにもならない部分があって、苦労してそれらを経験することではじめて社会で通用するようになるんです。
 
第一、親の会社を継げば後は安泰で食っていけると思っていることからして間違いだ。だから言ってあげました。「子どもを自分よりもすごい人間にしたいならば、あなたの2倍も3倍も苦労させないといかんじゃないですか? あなたよりラクをしたらあなたより落ちるのが普通じゃないですか?」と。
 
特に今は知識や情報は誰でも手に入るから、そっちで差をつけるのは難しい。事実はホリエモンや世の中が言っているのと逆で、知識や情報以外の部分で勝負する時代だ。そもそも人間の持つ能力のうち、知識や情報で示せる部分はせいぜい全体の数%。残り90何%は言語化できない経験知や感覚からできている。だから苦労した経験を通じてそれらを身につけることが子どもの成長には大事なのに、親がその機会を奪ってどうするんだよ。

 

年上の副社長に怒られる息子を見て

 
私がこんなに“苦労”と“経験”を推すのは、先日中国に出張に行った際に、我ながら自分の子育ては良かったかもしれないなと感じた出来事があったからです。
 
2014年に最初に中国に進出した時にサトカメのFC店舗を広げる計画があって、元日本のレンズメーカーの現地法人社長で60歳過ぎの馬(マー)さんが会長で、私が社長、息子の勇士と、日本のサトーカメラで修業した陳が実務部隊という体制で合弁会社を始めました。 それから紆余曲折があってその合弁会社は清算し、3年経った今年、サトーカメラの100%子会社で想道美留(上海)有限公司を新たに設立して、勇士が社長に就任したんだけど・・・。
 
そうしたら、先日出張に行った時に、陳が勇士にキレてるのよ。食事の最中に、私の目の前で。副社長が社長に向かって「お前はなんにもできないじゃないか!」って。これは日本のみんなに話したら「嘘! あの陳さんが!?」と全員が驚くようなことなんです。それくらい、陳という男は温厚で大人しい人間だとみんなから思われている。その陳が感情をむき出しにして、自分の本心を、飾らずにぶつけている。勇士は黙って怒られている。
 
その時に、1つは、そうやって陳が自分をさらけ出せるようになったことが、私は嬉しかった。本当のコミュニケーションができるようになったということだからね。
 
もう1つは、息子の成長が嬉しかった。後で勇士に聞いたら、陳がたまにキレるのはしょうがないんだそうだ。陳は40歳、勇士は28歳で、年齢が一回り違う。中国は儒教社会だから年下の社長の下で働いていると周りから冷たい目で見られるし、ましてや日本人だ。カメラ販売に関しては自分のほうが大先輩なのに副社長に甘んじているという葛藤もあるだろう。新会社でどっちが社長になるかは2人が話し合って決めたことで遺恨はないが、理屈じゃない部分で陳はどうしてもストレスが溜まる。勇士はそれらをわかったうえで「大丈夫。ひとしきり怒ったらいつもの陳さんに戻るから」と冷静に言うもんだから、我が息子ながら感心しちゃってね。馬会長と組んだ時は社長をやらせようとしてもビビってやらなかったのに、この3年間で成長したなぁ、苦労したんだなぁ、と思って・・・。
 
考えてみたら、そりゃそうなんだよ。中国に知り合いも友だちもいない、中国語ができるわけでもない、しかもカメラ業界は未経験、それがいきなり現地に放り込まれて、25歳でキャノン中国の社長とか中国電通のトップとかを相手にしてきたんだ。私も23歳で栃木でカメラ店を兄弟で始めたが、それとはわけが違う。彼のほうが私の何百倍もきつかったと思う。この3年間の経験と苦労は並大抵じゃなかっただろう。その意味で、同じ年頃の自分よりも息子のほうが完全に上に行ったなと思って、嬉しかった。
 
 

知識を仕込むより現場の経験

 
勝人塾でも個別指導でも、中小企業の社長と話していると、みんな、息子か娘に後を継いでほしいんです。でもなかなか継いでくれなくて困っている。それで「どうしたらいいんですかねえ佐藤さん・・・」と話すうちに、ほとんどが「子育てを間違った」という結論に行き着くんだよね。つまり、甘やかしたと。苦労させてこなかったのが悪かったと。その時は辛くても本人のためになることをもっと経験させるべきだったと、後になって悔やんでいる。読者の親御さんたちも、今のままだと、同じ後悔をすることになるんじゃないかなあ。
 
だからやっぱり、経験させること。本気で後を継がせたければ知識や情報をいくら仕込んでもダメ。現場を経験させるべきだ。親は子に現場を見せるべきだ。私もこの3年間、3ヶ月に1回のペースでそれを続けてきました。相手先との交渉の前には息子と自分の予測を共有して、生の交渉を自ら見せる、そして交渉が終わるたびに何度も何度も振り返る。そうすると親父の失敗も見られてしまうし、彼が恥をかく場面だって出てくる。それらもひっくるめて息子や娘たちにとっては経験なんだ。その経験が、自分がやらなくちゃならなくなった時に活きるんだよね。
 
昔から「可愛い子には旅をさせよ」と言うじゃないか。あれは真理だと思いますよ。
 
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e-mail:t-katsuhitojuku@business-plus.net
 

繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.14 可愛い我が子。だからこそ苦労を経験させろ

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2017.12.20)
 

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