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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 vol.6 何のために事業をするのか 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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「男は黙ってサッポロビール」

 
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サトーカメラ小山城東店、店舗トレーニング中のワンカット
皆さんこんにちは。佐藤勝人です。前回はリクルートさんが在宅勤務を導入するというニュースから、今後は日本人の「労働」に対する考え方や働き方が変わっていくだろうという話をしました。今回のリクルートさんの試みが象徴するように、これから日本人の働き方は全体的に、セルフマネジメント寄りになっていきます。いわゆるクリエイティブと呼ばれる人たちや知識労働者たちは特にそうなるはずです。そう考えた時に少し気になるニュースを見かけたので、今月はその話から。
 
皆さん、「ぐるなび」は使われます? そう、あの飲食店検索サイトの「ぐるなび」です。報道によると、東京の下町にある製菓会社がぐるなびさんと提携して、新しいポテトチップスを企画したそうです。9月28日の発売開始予定になってたから、もう店頭に並んでるんじゃないかな。商品企画に際しては「ぐるなび」に膨大に蓄積された検索履歴やデータを分析して「塊肉」が注目されているという結果を得て、それを商品のコンセプトにしたとのこと。スナック菓子みたいなコモディティ商品は常に消費者を飽きさせないことが最優先だから、次々に目立った注目点を見つけては新商品を投入する必要がある。そのポテチはいわゆるビッグデータをマーケティングに活用した例なわけだけども、同じ動きが急速に広まっているのかもしれないね。
 
私が思うに、今、日本のコモディティ商品は完全に女性目線になっています。男性目線を謳っているように見えるものも、実際ターゲットにしているのは明らかに女性の購買心理です。男性が消費者のメインとされるビールや発泡酒も同じです。「いろんな銘柄がどんどん新しく出て、男の人は楽しいだろうな~」って女の人は思うかもしらんけど、当の男どもは正直、どうでもいいのよ(笑)。だって、男は一度お気に入りを見つけたらずっとそれでいい生き物だから。「男は黙ってサッポロビール」って名コピーがあったでしょ。まさにあれです。
 
ただ、そんな男性たちが、マーケティングによって女性的に変えられつつある。どういうことかというと、「なければないで別の商品を買う」という浮気性な購買行動を覚えてきたんだね。私の持論では“お母さんっ子”で育った男が増えたことが背景にあるんだけど、それはともかく、昔は、男は目当ての商品がなければ我慢するか、見つかるまで探していたんだ。それこそビールなんて、昔のおっさん連中は絶対に浮気しなかったもんね(笑)。私も昔、葬式か何かで田舎の集まりに行く時に、途中の店でサッポロビールがなくて別の銘柄を買っていったのよ。それで、おじさんたちが集まってワイワイ話してるテーブルに出したの。そしたらマジギレされてね。「○×△□※ーーッ!」って。もうほんと、何叫んでるかわかんない、みんなすごい剣幕で。たぶん「ビールはサッポロに決まってるだろーーっ!」とか、「何やってんだお前はーーっ!」とか、そういうことだったと思うんだけどね(笑)。
 
そんなふうに、以前の日本は、本当の意味の定番商品とか大ヒットロングセラー商品とかが生まれる土壌があったわけです。今そうじゃなくなったのは製造業の全体的なレベルが底上げされて商品力に差がなくなったからだし、商品サイクルを早くして商品を押し込んでおきながら、値崩れは防ぎたいメーカーの都合も理解はできる。でも、そればっかりではダメなんじゃないか。自社の事業を世に問う以上は、かつてのあのおっさんたちの熱量を呼び覚ますぐらいの気概が欲しい。そう思います。
 
 

日本取締役協会の要望書から

 
経営者の気概の話をしたところで、このネタを。
上場企業経営者などが加入する日本取締役協会が、経営者など役員の報酬を利益連動制や株式報酬制にしやすくする改正要望書を政府に提出したそうだ。これらの報酬制度が普及すると株価が上昇し、日本経済再興の一助になるとの主張。
 
経営者を評価するのは難しいですよ。その人の何をもって良しとするべきか、後にならないとわからないところがあるから。あの原田泳幸さんだって、日本マクドナルドに迎えられてからの社長在籍期間は、誰もが優秀な経営者だと評価していたわけでしょう。でも今は「日本式店舗運営の良さを潰した張本人」と散々な言われようだ。私は彼の経営者としての優劣を評価する立場ではないが、今の日本マクドナルドの業績不振を招いたのは、前会長の藤田田さんが築いた日本独自の店舗運営方法やサービスを原田さんが捨て去り、アメリカ本社の言いなり100%に切り替えて目先の数字を追いかけたからだとする話を聞いたことがある。そのせいで藤田さん子飼いの経営幹部たちは日本マクドナルドを離れてしまって、その後、藤田田方式を他の業界に持ち込んで成功したケースが結構多い、とも・・・。
 
取締役協会の狙いは海外から優秀な経営者を引っ張ってくることなんだろう。ただ、うまく引っ張ってこられたところで、経営者として有能であることと日本の企業を導けることは、そのままイコールではないと思う。ソニーの失敗例もあるし、ゴーンさんも、日産に来た当初は見ていて危なっかしかったですよ(笑)。
 
総じて日本企業の経営には、欧米式のグローバル企業を経営するのとは違う、日本独特の要素があるんだろうな。その日本独特なところを否定すれば世界では通用するかもしれないが日本では失敗するしね。いずれにしても心しておくべきは、「自分たちは何のために事業をしているのか」ということだ。私は「思い出をキレイに一生残すために」、そして「地域一番化戦略を広めるために」、これからも全力疾走を続けます。
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.6 何のために事業をするのか

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
(2015.10.14)
 
 
 
 

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