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特色ある社内制度を取り上げるこの連載も、ついに最終回! 記念すべきラストとしてご紹介したいのが、ブライダル情報誌でおなじみの「ゼクシィ」やオンライン学習サービスの「スタディサプリ」、「カーセンサー」などの自動車関連情報サービスを手がける、株式会社リクルートマーケティングパートナーズさんです。「働き方変革プロジェクト」を推し進めるリクルートグル―プの中でも、2015年4月からいち早く働き方変革にチャレンジし「育ボスブートキャンプ」など、独自の取り組みを展開している同社。取材を通して、社内改革のためのヒントを教えていただきました。
 
 

「働き方変革プロジェクト」で生産性をアップ!

 
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フリーアドレスでのびのびと働く社員たち。
  現在、「働き方変革プロジェクト」に取り組んでいる、リクルートマーケティングパートナーズさん。まずはその目的や取り組み内容について、プロジェクトを推し進めている企画統括室経営管理部人事グループの浅田優子さんにお聞きしました。
 
「弊社では『会社の持続的な成長のために生産性を上げ、新しい価値を生み出そう』という目的で、2015年の4月から働き方変革プロジェクトをスタートしました。大きな取り組みとしては、同年10月からリモートワークとフリーアドレスを導入。自宅やカフェ、サテライトオフィスなど、どこでも仕事ができるよう体制を整え、さらに社内でも仕事をする場所の自由度を高めました。今年2016年の9月に取ったアンケートでは、『リモートワークを活用している』と答えた人が72%に上るなど、今ではもう、こうした働き方が当たり前の状況になりつつあります」。
 
導入開始から約1年でそれだけの数字を出すなんて、すごい浸透率ですね。他にはどんな取り組みをされているんですか?
 
「全社的にリモートワークを導入した次の段階では、各部署がそれぞれの課題に合わせた変革を独自で進めています。例えば『ノー残業デー』として、週2日は19時までに帰ることを推奨している部署もあれば、18時までに帰ろうと声をかけ合っている部署も。他にも、部署全員で時間を可視化するための取り組みを行っているところもあり、朝に1日の計画を立てて、夜に実際の業務時間を記録。割合をグラフで見比べることで、業務効率の向上を目指すなどしています。こうした取り組みを重ねてきた結果、今年の9月に実施したアンケートでは、『生産性を意識して働いている』という人が90%、実際に『生産性が上がっている』という人が65%という結果になりました。変革前から比べると大幅に数値がアップしていて、残業時間や休日出勤の割合も大きく減少したんですよ」。
 
それだけの成果を、わずか1年半ほどの期間で挙げることができたのは、なぜなんでしょうか? 上手く運用できたポイントをぜひ教えてください!
 
「そもそも“働き方変革”というのは、制度やツールといった“How”だけあっても上手く進まないものだと考えています。弊社ではそれを踏まえ、約半年間かけて“なぜ働き方を変えるのか”といった、“Why”の部分を全社員で徹底して考えることで、意識変革をしてきました。そうして社員が変革に納得した段階で、制度の試験導入をし、本導入へと持って行ったのが良かったのだと感じています」。
 
 

「育ボスブートキャンプ」でダイバーシティ&インクルージョンへの理解を促進

 
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プログラム実施時の受け入れ家庭での様子
リクルートマーケティングパートナーズさんでは、さらに「育ボスブートキャンプ」なる独自の取り組みをされているとか。キャッチ―なネーミングから、一体どんな制度なのかとても気になります! 企画統括室経営管理部人事企画グループの山田和秀さん、教えてください!
 
「育ボスブートキャンプは弊社社員が“育児しながら働く”ことを体験するプログラムです。社員が子どもを持つ別の社員の家に数日間通い、親が帰るまでの間、ごはんをつくったりお風呂に入れたり、勉強をみたり・・・と、代わりに子どもの面倒をみるというものです。これはダイバーシティ&インクルージョン、つまり多種多様な人材が活躍しやすい環境をつくるための一環として始めた取り組みで、昨年2015年には4人の管理職がトライアルを体験。今年は8人が4チームに分かれて、4家庭で4日間、プログラムを体験しました。実際に体験する前には講座を受けて、ダイバーシティの基礎や子育てについて学び、体験後は気付きや感想を社内外に発信することで子育てへの理解を深めているんですよ」。
 
他の社員の家に通って本当に育児を疑似体験してしまうなんて、すごいプログラムです! ヒアリングするだけでは決して知り得ないことを、深く知ることができそうですね。実際にどんな学びや気付きがあったのでしょうか?
 
「1つはシンプルに、育児をしながら働く苦悩や喜びを体感できること。そして、ありのままで向かって来る子どもとの交流を通して、個性を受け入れ肯定することの大切さに改めて気付くことができた、という社員もいました。それから意外なところでは、子どもを連れて外に出て初めて、交通量の多さに不安を抱くなど、『“親の視点”を体感できた』という声もありましたね。私たちはまさに結婚や学びという育児に関わるサービスをしているので、この気付きがあったのは大きかったです。あとは受け入れ家庭側の興味深い声としては、育児をしながら働いていることにどこか引け目を感じていたのが、一転して『私がしていたことは価値のあることなんだ』と自覚できた、というものでした。
 
そんなふうに参加者が得たものは大きかったようで、管理職の中にはプログラム終了後、自主的にまた子育て家庭へ行って、育児体験をさせてもらった、という人も。今後もこの取り組みを続け、まずは管理職から多様性への理解を深めることで、会社の風土を変えていきたいと思っています」。
 
社をあげて多様性のある柔軟な働き方を模索し、整備しているリクルートマーケティングパートナーズさん。働き方変革プロジェクトと育ボスブートキャンプのお話を聞いて思ったのは、前者ではプロジェクトの目的や意義、後者では他者に対する、“社員自身の理解を深める”ことを徹底しているということでした。新しい制度の導入には、何よりも周知徹底と社員の理解、賛同が必要そうですね。
 
それでは皆さんもぜひ、これまでの企業の取り組みの数々を参考に、独自の“ウチの制度”、ひいては企業文化をつくりあげていってくださいね!

 
 
 
▼取材協力
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
http://www.recruit-mp.co.jp
 
 
(2016.11.4)

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