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充実の社内制度を持つ企業を取り上げる本連載も、残すところあと2回となりました。さて今回ご紹介したいのは、「ホットクレンジングゲル」などの無添加化粧品ブランド、「マナラ化粧品」でヒットを生み出している株式会社ランクアップさん。2005年の創業から10年以上、増収を続けており、2016年9月期には売り上げ約90億円を達成見込み。そしてなんと、ほとんどの社員が17時退社をしているというすごい会社さんです。17時退社実現の秘密と、女性社員が主な会社ならではの、ユニークな社内制度をお伝えします!
 
 

17時退社を実現するための秘策とは!?

 
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コミュニケーション食事会の様子。予算は飲み会に回すことも
現在、様々な独自の取り組みが注目されつつあるランクアップさん。その1つである17時退社開始のきっかけや、実行のための具体的な改革内容について、広報部の島田めぐみさんにお聞きしました。  
 
「もともと17時退社を始めたのは、社長の岩崎裕美子が出産し、会社で初めてのママとなったことがきっかけです。仕事と家庭の両立に苦しんだ岩崎が、後に続く社員たちを思って『定時で帰れる会社に!』と始めました。とは言っても、日々の業務が山積みでは帰りたくても帰れませんよね。そこでまずは、業務の棚卸から始めたんです。全社員一人ひとりの業務を細かく書き出し、形骸化している作業を廃止。会議のあり方も見直し、会議は基本30分で実施したり、資料のつくり込みも禁止したりしました。そしてできる限り、システム化やアウトソーシングもしています」。
 
それだけの徹底した改革の数々を実行することで、見事17時退社が実現したんですね!
 
「実は当社の勤務時間は9時から18時だったのですが、東日本大震災の直後に社員の身を案じて期間限定でサマータイムの8時半から17時半勤務を導入。さらに30分早い17時に帰れるようにしたところ、社員から『継続してほしい』という声が出まして。それで岩崎も迷った末に『業績が落ちたら定時退社に戻す』という条件付きで、今も17時退社を許しているんです。それ以来みんな、『残業すればいいや』という感覚が抜けて、『絶対に17時までに終わらせる!』という意識で仕事をしていますね」。
 
体制を変えたことで、社員全員の意識も変わったわけですね。17時退社になって、どんな変化があったのかが気になります!
 
「以前は19時くらいに帰っていたのが17時退社になったので、本当に世界が変わりました(笑)。まるで1日が2回あるような感覚です。アフター5は家族と過ごしたり、会社の『研修費用会社全額負担』制度を使って受けたいセミナーに出たりと、それぞれが充実した時間を過ごしています。物事をインプットできる時間が増えた分、業務にアウトプットできることも増えたように思いますね」。
 
 

ママ社員と独身社員の働き方を公平に

 
17時退社の実践で業務効率も上がってアイデアが生まれることも増えたなんて、良いことづくしですね! ところでママ社員の皆さんはどんなふうに働いているのでしょう?
 
「社員45人のうち43人が女性、その半分がママ社員で、小さい子どもがいる人は時短勤務で16時半に退社をしています。さらに当社には『病児シッター使い放題制度』といって、子どもが急に熱を出すなどした時には1日約2万円のシッター料金を、300円で利用できる制度があるんです。キャンセル料も会社負担なので気兼ねなく利用できますし、この制度のおかげでママ社員は独身社員と同じように働くことができています。これだけの環境があるからか、今は常に社内に妊婦さんがいる状態です(笑)」。
 
多くの企業ではママ社員と独身社員の間で勤務時間に差ができてしまいがちですが、ランクアップさんの場合はほとんど差がないですよね。
 
「もしママ社員が17時退社で独身社員が19時退社だったとしたら、不満が生まれたと思います。そうではなく、全員に17時退社を推奨し、かつ病児シッター使い放題制度があるからこそ、両者が上手く共存できているのだと思いますよ」。
 
 

「改善提案」制度で社員の発想力をランクアップ!

 
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島田さん提案の「無農薬野菜支給」で届いたアスパラガス
ランクアップさんでは、他にも「改善提案」なるユニークな制度を実施されているそうですね。どんな制度なのでしょうか。
 
「常に改善点に目を向ける習慣をつくるために始めた制度で、給与に関することと悪口以外なら何でも提案していい、というものです。この制度では、採用・不採用に関わらず、提案者に500円が支払われます。実際に提案から生まれた制度もたくさんあって、実は私が提案した『無農薬野菜支給』の案も採用されました(笑)。これは『無農薬野菜を食べて内側からもキレイに!』という思いから出したもので、実際に今、岩崎の出身地である北海道から毎月野菜が届いています。他にも『PCメガネ支給』や『好きな本を買っていいよ』制度、美術館や博物館などに行く費用を毎月2000円まで補助してもらえる制度もあるんですよ。中でも一番人気はランチ代の補助が毎月3000円まで出る制度で、みんな必ず利用しています(笑)。こうした制度のおかげで、社内のコミュニケーションもとても活発になりましたね」。
 
改善提案制度だけでもおもしろいのに、そこから生まれる制度がまたユニークですね! 社内で様々な体制や制度を上手く運用できている理由は何か、ぜひ教えてください!
 
「17時退社を徹底したいので、毎月どの社員が何時間残業しているのかをチェックしています。もし慢性的に残業が多い社員がいたら、その都度業務の棚卸をすることで、17時退社を実現し、定着させているんです。それから先ほどご紹介したような福利厚生についても、各制度がどれくらい利用されているのかを数字で表して毎月チェック。利用頻度が少ないものは容赦なく、なくしています。そうした社をあげたチェック体制が、運用の1つの秘訣かもしれませんね」。
 
新しい試みをどんどん採用し、徹底して実践、その成果を厳しく精査する風土がある、ランクアップさん。そうした心がけが実務にも活かされている結果、業績を上げているのではないでしょうか。業務の棚卸や提案制度、チェック体制づくりなどはすぐにでも実践できそうです。取り入れたら社内が活性化するだけでなく、業務効率もアップするかも?

 
 
▼取材協力
株式会社ランクアップ
http://www.manara.jp
 
 
(2016.10.7)

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