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◆いよいよ、楽天がビットコイン決済を採用

 
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 10月21日、あるニュースが発表された。ビットコインのデジタル決済プラットフォームの米Bitnet社が1450万ドルの資金を調達し、日本から楽天も出資に加わったというのだ。それどころか、Bitnetのサービスを自社の決済手段として導入することが決定しているという。加盟店舗4万1800、ユーザー1500万人の国内最大級のオンライン通販会社がビットコインを採用するインパクトはとても大きい。
 
 2014年2月、ビットコインの両替所マウントゴックスがハッカーのサイバー攻撃を受けて破綻して以降、日本ではビットコインは危険なもの、胡散臭いものというイメージが拭い切れないでいる。ただ、あの事件はマウントゴックスという一取引所が破綻しただけであって、ビットコインの通貨システムには何の影響もない。
 
 ビットコインは今でも生きており、アメリカを中心に急速に勢力図を拡大している。使える場所は、ネット通販、ゲームなどソフトの購入、飲食店の支払い、貿易金融など。弁護士事務所やラスベガスの老舗カジノでも使えるようになった。実は、楽天グループの流通事業会社である楽天スーパーロジスティクスもすでに米国で導入済みだ。
 
 

◆日本でも育てようとする動き

 
 日本でも、この数ヶ月間にビットコインに関するニュースが続いた。6月には自民党のIT戦略特命委員会からガイドラインが公表された。それによると、ビットコイン技術を「価値記録」として、通貨、電子マネー、モノでない新たな分類に属すると定義。ビジネスにイノベーションを起こす要素として前向きに評価している。
 
 民間でも、bitFlyerやビットバンクなどがビットコインの販売所サービスを開始するなど、徐々にビットコイン関連サービスが登場しつつある。185ヶ国に約10万人の利用者を抱えるビットコイン取引所大手の米Kraken(クラケン)も、2014年10月31日から日本国内でサービスを開始。円とビットコイン間の取り引きが日本語で可能になった。また、ビットコイン関連事業者の初の団体となる一般社団法人の日本価値記録事業者協会(JADA)が今年10月23日に活動を開始した。東京の西麻布には、米ロボコイン社のビットコイン専用ATMの第1号機が登場している。
 
 

◆ビットコインは「インターネット上の情報(データ)」

 
 なぜ、いま再びビットコインが注目されるようになったのだろう。仕組みを調べていくうちに突き当たったのが「通貨とは何か」ということだった。
 大昔、ものを入手する手段は物々交換だったが、「石」が交換手段に用いられるようになった。ただの石でも、みんなが価値を認めれば通貨(現代の形態では「おカネ」)の役割を果たすようになる。ビットコインも、みんなが交換や貯蓄の手段にすればおカネとして通用するのだ。
 
 いま、「あの人はおカネ持ちだ」と言う時、おカネとは実際の硬貨や札束ではなく、銀行の「預金通帳に記録された情報」のことである。支払いとは預金の振替(振り込み)による送金であり、情報を送ることである。ビットコインもその方式を受け継いでいる。大昔の人たちが石をおカネに見立てたように、インターネット上の情報(データ)をおカネと見なし、それに所有権を付与したり、信用力を裏づけたり、支払手段として使える仕組みを組み込んだものがビットコインなのだ。
 
 

◆基本の仕組みと特徴は?

 
 その基本的な仕組みと特長は以下の通りである。
 
○発行の上限が決められている。ビットコインは2100万枚以上は発行されない仕組み。発行数が増加してインフレになり、コインの価値が薄まることはない(2014年10月時点で1300万枚が発行済み)
○情報の改ざん(貨幣における偽造)が困難。不正なデータを検出する仕組みが備わっている
○取り引きはネットワーク全体で維持管理が行われ、コインの保有を示す情報は「ブロックチェーン」と呼ばれる記録簿に記載される(トレーサビリティ)
○クレジットカードや銀行送金は大規模な決済ネットワークを利用するので、手数料が割高。ビットコインは送金先と受取先の二者間(Peer to Peer=P2P)で取り引きが完了し、仲介者や管理者が存在しないのでコストがゼロに近い。カードや銀行口座も不要
 
 楽天がビットコイン決済導入を決めたことは、他の企業がビットコインに参入するきっかけを与えるに違いない。
 
 
 

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