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消費税に振り回されないために
~「もの」から自由になるとは?~

 
 

◆賃上げを頑張った大企業。どうなる中小企業への波及

 
 安倍首相が約束していたもう一つの目玉・賃上げは、政府の「賃上げ圧力」が功を奏したようだ。企業減税を賃上げにつなげさせようと、昨年末から異例ともいえる政府からの賃上げ要請が続いた。その結果、トヨタ2700円、ホンダ2200円、日立、パナソニック2000円、ローソン3000円と、自動車、電気、鉄鋼、流通の主要企業が月額ベースで2000~3000円の賃上げを約束した。他の多くの企業も一時金で応えると回答している。
 
 働き手の40%を占める非正規社員の待遇について、トヨタは非正規社員の時給を200円アップ。「消費税分を自社で負担する」というので、コストカットや合理化で社員の給料が下がるのではと昨年11月の本コラム「消費増税の大整理!」で危惧した家具大手のニトリも、パート・アルバイトの時給を平均21.4円引き上げることにした。
 
 こうした賃上げ圧力は、来年、再来年もかけ続けられるのだろうか。日本の企業のほとんどを占める中小企業にも波及していくのだろうか。多くの企業が賃上げをするにしても、トヨタより高くなることはないだろう。
 
 

◆アベノミクスに期待は抱きながら

 
 安倍首相は、「企業が賃上げすれば個人消費が上向き、ものが売れる。ものが売れて企業が潤えば、また賃上げにつながる」という好循環のスパイラルを強調。賃上げをしないと企業名を公表するとまで言い切った。そのため、首相のこの“脅かし”は、「アベノミクスがうまくいっていないからだ」と陰口もきかれたほどだ。
 
 大和総研によると、消費税が1%上がると物価は0.72%上がる。年収500万円の夫婦と小学生二人の家族の場合、増税と控除廃止などで2016年には年間33万8000円の負担増となる。これは、手取りが7%アップしなければカバーできない額である。ほとんどの家庭が、消費税を織り込んだ物価の値上がりには追いつけないというのが実情なのである。
 
 時事通信社が、3月の調査で景気回復を感じているかどうか聞いたところ、「実感しない」=75.3%、「実感する」=19.2%と圧倒的な差が出た。アベノミクスに淡い期待は抱きながらも、現実を直視すると、どうも安倍首相が言うようにはなっていかないのではないかと、国民が本音を明らかにし始めたのかもしれない。
 
 

◆「いま」は何が「いま」なのか

 
 消費税8%は走り始めたばかり。国は、2015年10月に10%へのアップを予定している。判断の時期は12月頃だというが、アップできるのか。その時の経済状態は? そしてその先は? 5から8への3%で大騒ぎしたが、今回はあくまでも5%から10%にアップさせるプロセスの「ワンステップ」に過ぎないことをはっきり認識しておく必要がある。
 
 増え続ける社会保障費をまかなっていくには、20%でも足りないのだという。われわれの頭の中には、いずれ西欧並みに15%、20%の時代が来るんだろうなという予感がすでにある。これからも、増税のたびに同じような騒ぎを蒸し返していくのだろうか?
 
 これまで、われわれが求めてきたのは「豊かさ」だった。具体的には「もの」を所有すること。欲望を満たすためにどんどんものを所有してきたのが人間の歴史だった。すると、豊かな社会を目指すために、ものの所有に税金をかけなければならなくなったということは、実に皮肉ではないか。
 
 そもそも「豊かである」とは、「必要な時に必要なぶんの機能が満たされる」ことが本質であるはずだ。だとすると、いま我々の前に現われている「皮肉」は、所有と豊かさを特に疑問もなく抱き合わせてきた「習慣」を見直す契機であるかもしれない。たとえば普及が進む「カーシェアリング」や、次世代型街づくりの一つである「スマートシティ」の構想にその潮流が見られないだろうか。あるいは「里山資本主義」といったものもそうかもしれない。急がず、あわてず、悲観せず、生き方のスタイルを考え直してみる・・・いつ? いまでしょ。
 
 
(ライター 古俣慎吾)
 
 
 
 

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