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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

利用者の自信を育む オープンな就労支援施設
一般社団法人LAYA 代表理事 川上孝一

 
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インタビュアー 宮地真緒(女優)
宮地 就労継続支援B型の事業所を運営する、一般社団法人LAYA(ラヤ)さん。まずは、事業内容を詳しく教えてください。
 
川上 当事業所は、知的・精神および身体障害を持つ方のための就労支援施設です。現在20人ほどが登録しており、製品の組み立てやネット商品の梱包、発送作業などの軽作業からポスティング作業までチーム体制で幅広く行っています。
 
宮地 川上代表は、これまで就労支設施設の運営一本でやってこられたのでしょうか。
 
川上 いえ、もともと製造業での社員教育担当を担っていました。そのとき、仕事についていけず仲間から差別的な扱いを受け、すぐに辞めてしまう人を何人も見てきましてね。「この状況を何とかできないかな」と、福祉分野に興味を持ち始めたんです。
 
宮地 その後、どういった経緯で開業に至ったのでしょう?
 
川上 最初は、これまでの製造業での製造技術に関する社員教育担当の経験を活かし、カウンセラー資格を取得して、キャリアカウンセラー・コンサルトとして働いていまして。公共施設等の職業支援や相談支援を通じて、障がい者の方も含む、メンタルヘルスケアや職場での対応方法などの支援を行っていました。また、それ以外にカウンセラー仲間とNPO法人を立上げ、引きこもりの方向けの相談支援も県内各地で行っていたんです。ただ、関わっていく中で、大きな課題にぶつかりました。
 
宮地 大きな課題ですか。気になりますね。
 
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川上 相談支援の中で、相談者様はメンタルケアにより気持ちの回復はされても、実際の職場や現場を訪問すると、社内環境の対応や作業技術不足といった現場で直面している課題は何も解決に至っていないことに気付かされたんです。また、相談者様が感じている課題と、私たちの客観的な視点で見えてくる課題が異なることにも気付きました。それは相談支援では見えてこない領域でした。相談者様の生きづらい環境を少しで生きやすい環境に変えていくには・・・と考えたとき、より現場に近い環境のもとで、相談支援以外に社会現場に対応できるスキルを身につけていただける支援はないかという問いに行きついたんです。それに気付いたきっかけは、実際に作業訓練を通じて社会自立を目指している障がい者就労支援施設でした。作業訓練の知識・技術や支援方法を身につければ、大きな課題にぶつかった相談者様が、よりよく生きるための手助けができるのではないかと思い、障がい者就労支援員として働くことを決意しまして。実際に支援に関わっていく中で、周囲の方々から「事業所を開設してほしい」とのお声を多数いただきました。「では挑戦してみよう」と決意を固め、2021年にオープンしたんです。