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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
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インタビュアー 川上麻衣子(女優)
川上 笑楽工房さんは、就労継続支援B型の事業所だそうですね。恥ずかしながら、こういった施設があることは知りませんでした。
 
平子 川上さんが知らないのも仕方ありません。2006年から障害者自立支援法の施行によって、就労移行支援や就労継続支援A型B型の事業等が法整備化され、何度か見直しが行われて現在に至っています。障害者自立支援法は、精神を患って入院した方を社会へ復帰させることが前提の制度。しかしなかなか社会での受け皿が整っていないのが現状なのです。川上さんは北欧・欧米の制度をよくご存じだと思います。法整備がされたという面においては欧米の障害福祉に近付いて来たのかもしれませんね。
 
川上 そうですね。私が住んでいたスウェーデンの場合、昔から障がい者や高齢者が自立して生きられるように徹底的にサポートされています。そのあたりの意識が国として進んでいるのでしょう。
 
平子 日本では家族に心の病を持った方がいても「体裁が悪いから」などと言って、就労支援施設などには入れたがらない家庭が少なくありません。まだまだ閉鎖的な考えはあるようです。しかし、まず大切なのは家族の考え方を見直すことではないでしょうか? ご家族には障がいを個性と受け止め、その個性を訓練施設で軌道修正して社会に復帰させることが本人のためだと思ってほしいです。両親や他の家族も、永遠に生きられるわけではありませんから。社会的な考え方としては、一昔前に比べたら障がいへの理解を得られてきてはいますが、さらに理解が深まるよう少しずつでも変えていきたいですね。
 
川上 長い道のりになりそうですが、ぜひ頑張ってほしいと思います。今はこちらの施設で、どういった作業をされているのですか?
 
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平子 おせんべいの加工販売が基本事業ですね。精神・知的機能に障がいを持っている方と一緒に作業をしています。施設での経験を通じて、ゆくゆくは一般企業に就職できるように手助けしているのです。
 
川上 なるほど。2017年7月現在、何名くらいの方の受け入れが可能なのでしょう。
 
平子 今は定員が20名ですね。ただ、すでに10ヶ年の事業計画を立てていて、2021年頃には施設の規模拡大を考えています。それに伴って事業の幅を広げ、“プチ道の駅”のような工場・販売コーナーを備えた施設を設立したいですね。そうなった際には、就労A型と就労B型を同時に事業化したいと思っております。そして、全国各地から障がい者を受け入れられるように、グループホームも併設した施設を築きたいんです。