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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

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みんな同じでないからいい!
際立つ個性こそ人の誉れ

 
雅楽師、東儀秀樹――。1300年以上もの昔から奏でられてきた日本の伝統音楽を継承する人物に、皆さんはどんなイメージを持っていますか? 伝統音楽、つまり古典を守護する生真面目で厳かな印象? ・・・古典を愛し、守っているのは確か。でも、好奇心旺盛で常に新しいことに挑戦し、古典に現代音楽を融合させるエンターテイナーとしての顔も持っているのが東儀さんです。古典とオリジナルを両立させてきたその力は、いったいどんな思いから生まれているのか――。新たな1年を皆さんと“誉れ”あるものとして過ごすため、東儀さんの言葉に耳を傾けてみました!
 
 

興味の赴くままに歩めば楽しい

 
 僕は何か目標を立て、それに向かって行動をすることはしないですね。好奇心旺盛なんですよ。だから、目標に向かっている途中に見つけたおもしろそうなことを、「誘惑に負けるな!」なんて見ないふりをする日々は過ごしたくない。誘惑大いに結構(笑)。だって、もしかしたらその中に、「自分がやるべきことはこれだったんだ!」とドンピシャに感じることがあるかもしれないんですよ。目標達成のためにその可能性を自ら捨てるなんて、もったいないと思ってしまう。
 
 自分の琴線に触れる何かが目の前に現れた時は、迷わず飛びつきます。だから人生を1本道に例えた場合、僕は寄り道ばかりでジグザグに歩んでいるわけです。でも、曲がり道に踏み込んでみると、その先には別の道がまた見えてくるもの。好奇心の赴くままに、いろいろな方向に進む。振り返った時にわかるのは、そのジグザグした道程の全てが僕には必要で意味があったことだし、その結果として今の僕がいるということです。目標を持つのではなく、その都度チャレンジしたいと感じたことに取り組む――。そんな人生が、おもしろくて仕方がないですね。
 
 目標を決めてそこに邁進する人も、そうでない人もいますが、どちらでもいいんですよ。人間は自由です。何をしたっていいんです。途中で考えを変えて引き返してみることだって、ちっとも格好の悪いことではない。来た道を引き返す道程の中に、新しい自分の価値観が加わるだけですよ。何をしたって自分の肥やしになるし、それが別の道を進むための推進力になる。どんな所に自分の可能性を広げるきっかけが転がっているのかは、誰にもわかりません。だからこそ、積極的に動かないといけないですよね。
 
 立ち止まったままでは、新たな自分の可能性に1つも触れることができません。とにかく動いたほうがいい。途中で諦めてもいいから、興味が向いたことにはチャレンジすべき。そうすればいずれ、自分が気負わずに楽しめる場所はきっと見つかるものですし、自分自身の身の処し方を確立できる時がくる。もちろんそのためには、自分を立ち上がらせる衝動が必要ですけどね。
 
 僕にとってはそれが、好奇心なんです。自分が興味をそそられるものって、誰にでも何か1つはあるじゃないですか。その時ごとにアンテナが伸びた方向へ、どんどん行けばいい。常に自分の周囲を観察して、気になったものには迷わず食いついていく。それが、驚きと期待に満ち溢れた人生を楽しむための秘訣でしょうね。
 
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