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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


 
プロフィール 1940年3月13日生まれ。福岡県吉井町 (現うきは市) 出身。京都大学文学部卒業後、毎日新聞社に入社。新潟支局、大阪社会部、東京社会部、『サンデー毎日』 編集部に所属し、外信部 (テヘラン特派員) を経て1988年4月より 『サンデー毎日』 編集長。1989年に退職して以降、テレビ朝日系列 「ザ・スクープ」 「サンデージャングル」 でキャスターを務めるなど、テレビメディアに活動の場を移した。2003年から2007年まで関西大学でマスコミ学を教授。2005年、ステージ4の大腸がんが発覚。転移を経て4度の手術を経験しつつも、2010年からの筋力トレーニングによってがん罹患前以上の健康を得て、2012年6月現在も 「ニュースの職人」 として活躍中。
 
 
 
「ぼくは本当は "ジャーナリスト” っていう肩書きに馴染めないんです。いろんなことを知りたい、好奇心のかたまりというだけだから」――取材を申し込んだ編集部に、鳥越俊太郎氏が答えた言葉である。そして 「知りたいといっても、真実なんてないよ。あるのは事実だけ」 とも。その鳥越氏は自身のまさに “事実” として2005年にがんを発病し、転移が重なって実に4度にわたる手術を経験した。しかし、「術後00年生存率」 などという医療上の概念と常に隣り合わせでいながら、2010年からはジムトレーニングで肉体改造に成功し、現在も報道の第一線で、東北の被災地に、返還40年を迎えた沖縄にと、精力的に取材をこなしている。そして 「今はね、もう一人、子供を作りたい(笑)」 といたずらっぽく笑ってみせるのだ。
本誌リニューアル号となる6月号。その巻頭を、仕事と人生を丸ごと楽しんでいる人物に飾っていただこう。
 
 
 

一期は夢よ ただ狂へ

 
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 人は楽しく、おもしろく生きていたいじゃないですか。笑いとか楽しみとか、できたらそんな雰囲気の中で生きていきたいという姿勢は、ぼくには自然に身についていると思う。講演なんかでも3分に1回は笑いをとるように心がけるとかね(笑)。 笑いがなければ講演も成立しないというのがぼくの考えです。日常の家族との生活もそうです。だから、まあ、生きていること自体、考えようによっては笑えるよね、ということ。
 今の日本人男性の平均年齢は79歳ですか。最初の5年間は意識がないので、75年としましょう。ビジネス誌の読者を意識して言うなら、そのうち社会で働く時間はわずか40年か、45年ぐらいか。半世紀にもならないぐらいのものでしょう。すると 「こんなのは深刻に考えたって始まらんわ」 と(笑)。 何が起きたって笑い飛ばずしかないというのが基本にあります。ぼくの場合は。
 もちろん、何らかの事情でそれができない人はいます。うつ状態になっちゃったとか、病気だとか、神経症的に考えこんじゃうとか・・・。そういった方々には少し言い方を変えて、「時間をもっと大切に使ったらどうですか?」 とサジェスチョンしたいです。
 室町時代の 『閑吟集』 という歌謡集の一つで 「何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」 というのがあるんです。「何をぼんやりくすんでいるか。人の一生は夢だ。ただ狂え」 と。自分の好きなこととか、楽しいこととか、対象はそれぞれでいいから何かに狂え、という意味ですね。ぼくはこの歌が自分自身に非常にしっくりくる。皆さんも、しょせん半世紀にも満たない時間、前を向いて、狂ったごとく、何かに集中されてみたらどうでしょう。
 
 
 
 
 

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