B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

不完全さも魅力になる ハンドメイドの織物
手織り工房meno 代表 杉岡広子

 
glay-s1top.jpg
インタビュアー 鶴久政治(元チェッカーズ)
鶴久 兵庫県宝塚市の清荒神の参道沿いにある手織り工房meno(メノ)さん。自然光が差し込む明るい空間に、織り機と色とりどりの糸が並んでいて、まるでアトリエのようですね。
 
杉岡 ありがとうございます。当工房では、自由な感性で楽しめる「さをり織り」のレッスンを行っています。入会金は不要で、体験コースから月謝制まで幅広くご用意しているんです。1000円から気軽に始められるので、初めての方でも安心ですよ。
 
鶴久 気軽に参加できるのは嬉しいですね。さをり織りとは、どのようなものなのですか?
 
杉岡 織り図に決まりがなく、自分の好きなように織る織物のことです。「さをり」は、「差を織る」から名付けられたと言われています。好きな布や糸を使えるので、つくり手の個性を活かすことができるんです。織り機を使い、ストールやタペストリーのような織物を制作します。糸が出ていたり不ぞろいであったり、失敗に近い見た目に仕上がっても、作品の味わいとして楽しめますよ。
 
鶴久 つくり手の感性の“差”が味になるわけですね。杉岡代表はどのようなきっかけで、さをり織りに出会ったのでしょう。
 
glay-s1top.jpg
杉岡 私は高校時代に大病を患い、卒業後は体調維持の関係で洋裁学校に進みました。その後、結婚してタイで暮らすことになったんです。現地では、スマトラ沖地震の被災地支援のボランティアに参加していて、その活動中に偶然、色とりどりの糸で織られた美しい布、さをり織りに出合いました。そこからまた月日が流れ、大阪の南部で暮らすことになり、近所にさをり織りの工房を見つけまして。気になって問い合わせたところ、なんと、そこがさをり織り発祥の場所だったんです。不思議な運命を感じましたね。
 
鶴久 本当に、人生そのものが一本の糸のように自然につながっていったのですね。
 
杉岡 そう感じます。創始者が提唱した「自由に織る」という考え方に共感し、年齢や障がいの有無を問わず、誰もが楽しめる場をつくりたいと思い、この工房を開きました。