子の成長を見守る写真店
学校行事をカメラで記録
子どもたちに“遊んでもらう”感覚がちょうどいい

柿木 はい。それで学校イベントにも「一緒に来る?」と誘われるようになったんです。行ってみると子どもたちとの遠足も楽しくて、だんだんとこの仕事に馴染んでいきました。そのうちに「本格的にうちでやってみないか?」と誘ってもらうものの、当時、私はまだ大手自動車メーカー系列の会社にいましたから、義父はかなり悩んだらしいですね。
嶋 お義父様にしてみれば、娘の結婚相手ですからね。安定した仕事を持っているのに、家業に引き入れてしまっていいものかどうか、悩むのもよくわかりますよ。
柿木 実際に声をかけられた際も「1年ぐらいよく考えてね」と言われました(笑)。ただ、自分はもう完全にカメラの仕事に魅力を感じていましたし、義父の人柄に惚れていた部分もあったので、一応考える猶予をもらいながらも、転職する気満々で1年を過ごしましたね。
嶋 気持ちは決まっていたんですね。ところで、一般の写真店での撮影だと、被写体との間に一定の距離があるのに対して、子どもたちの中に入って撮影するのは、まったく異なる難しさがありそうですよね。

嶋 私にも娘がいるので、よくわかりますよ。子どもって、そういう距離感に敏感ですよね。一度警戒させてしまうと、やり直しがきかないこともありますし。
柿木 その通りで、最初にこちらがぼんやりしていたら出遅れてしまうので、「よろしくね~!」と明るく言いながら、どんどん子どもたちから絡んでもらうことを意識しています。スクールフォトは、被写体に“遊んでもらう”くらいの感覚がちょうどいいと感じていますね。
嶋 子どもに遊んでもらう職業って、そうそうないかもしれないですね(笑)。でも、そのほうがうまくいくのも想像できます!