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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
長らく第一線で活躍を続けている錦織さん。「自分自身が第一線に立っていると感じたことはないが、お客さんの一番近くが一線だと考えている」と、その価値観について語ってくれた。
 
 

舞台をカジュアルに楽しんでほしい

 
僕の夢の一つは、舞台演劇をもっとカジュアルに楽しんでもらうことです。例えば、街をふらっと歩いているときに「少し時間が余ったからお芝居でも観ようかな」と選択肢にあがるくらい、気軽に楽しんでもらいたいんですよ。
 
もう一つは、僕の手がけた演劇でお客さんに心から楽しんでもらうこと。以前、劇団新感線のある舞台を観に行ったときに、僕の後ろに座っていたカップルが、終演後に「おもしろかったね」「来て良かったね」と話しながら帰って行ったんですよ。それを聞いて、僕自身が関わった舞台じゃないのに、本当に嬉しかったですね。「最高の言葉だなぁ」と思いました。僕の目指しているものはこれなんだなと実感しましたよ。
 
そのために必要なのは、お客さんに寄り添うことだと思っています。それに気付いたのは、尊敬する矢沢永吉さんの、ある展示会に行ったときです。入場の列に並んでいるファンの方々は、僕より年上の年代が多かったでしょうか。みなさんリーゼントにするなど、“突っ張った”格好をしているんですよ(笑)。そして何より印象的だったのが、ファンのみなさんの全員の目が輝いていたことです。「ああ、矢沢さんはお客さんと一心同体なんだな」と感じましたね。
 
僕はこれまで、お客さんやスタッフの方々など、本当に多くの方に支えていただいて活動を続けてきました。これからはよりお客さんに寄り添い、気軽に楽しんでもらえる舞台をつくっていけたら嬉しいですね。客席の一番後ろで、舞台を楽しむお客さんの姿を観ることが、僕の今の楽しみなんですよ。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真Nori)
 
 
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錦織一清(にしきおり かずきよ)
1965年生まれ 東京都出身
 
小学生のときにジャニーズ事務所に入所。アイドルグループ「少年隊」のリーダーとして一世を風靡した。テレビドラマや舞台を中心に俳優としても活躍。その後、舞台演出にも積極的に関わるように。ミュージカル『グレート・ギャツビー』や『蘭~緒方洪庵 浪華の事件帳』などさまざまな作品を手がける。時代小説“しゃばけ”シリーズを原作とした舞台、『シャイニングモンスター』が3月13日からCBGKシブゲキ!! にて上演。
 
畠中恵「しゃばけ」シリーズpresents シャイニングモンスター ~ばくのふだ〔Shining編/Shadow編〕~
公式サイト
https://www.lol-w.com/shiningmonster/
 
 
(取材:2021年2月)