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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


 
1970年生まれ。東京都八王子市出身。高校卒業後、役者を目指し劇団に入る。その後、電話回線の販売代理店に就職。営業力を磨きトップセールスマンに昇りつめた。後に起業し、不動産事業、海外挙式のプロデュース事業などを手がける。2001年に(株)エー・ピーカンパニーを設立。2004年、「みやざき地頭鶏(じとっこ)」 専門居酒屋 「わが家」 を出店。2006年には宮崎県日南市に自社養鶏場と加工センターを立ち上げて蓄産業に進出した。以降、漁船を保有し定置網漁を開始するなど漁業への進出も果たす。2012年9月に東証マザーズ上場、同年10月にシンガポールにも出店する。2013年9月、東証一部へと市場を変更。10月1日現在、「塚田農場」「四十八漁場」 などの外食ブランドで156店舗を展開中。著書に、『ありきたりじゃない 新・外食』(商業界)がある。
 
 
 
我々が口にする食材は、第1次産業である農家や漁師が生産、収穫し、第2次産業の加工業者や問屋を経て、第3次産業である小売や飲食店が販売する流れが一般的である。しかし、「塚田農場」 「四十八漁場」 などのブランドで居酒屋チェーンを展開する株式会社エー・ピーカンパニーは、生産、収穫から販売までを自社で一貫して手がけている。この、生産者と直結したビジネスモデルで、97兆円の食品産業全体を視野に事業拡大を続けるその取り組みには、単に利益を追求して自社を潤すための事業ではない、刮目すべき理念が秘められている。
 
 

利益追求より社会貢献が目的に

 
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 当社のビジネスの特長は食材を自社で生産し、それを自社店舗で販売することで、「高品質低価格」 の食材を提供できる仕組みを持っていることです。この、生産と販売が直結したビジネスモデルを生み出す最初のきっかけとなった食材が 「地鶏」 でした。地鶏を 「おいしく、しかも低価格で提供する」 ために、第2次産業の問屋から食材を仕入れるのではなく、生産者と直接取引してコストを下げようと試みたのです。それで、宮崎県の日南市に足を運び、現地の方々の協力を得ながら 「みやざき地頭鶏」 の養鶏場や加工センターを構えることにしました。
 自前で生産体制を整えたのは、「高品質低価格」 でお客様に喜んでもらうことを目的としていたからです。しかし、現場に足を運び自らが生産者となったことで、第1次産業の苦労や、その産業を主な生業とする地域が抱える、就労人口の不足といった課題を知ることができました。この成果は当社が進むべき方向性を決定づけるうえで、大きかったです。まず、生産の苦労を経験すればその食材に愛着が湧きます。だから、店舗で売る時の意識も変わってくる。そしてもう一つ、加工センターなどを所有したことで、地域に雇用を生むことができた。これにより、当社の事業が地域の課題に少しなりとも貢献していることがわかったんです。
 このように、自社の事業に新たな価値を付加できたことが、社内のスタッフにもいい影響を与えました。店舗を通じてお客様に最も近い位置にいる我々は、生産者さんとお客様を橋渡しできる立場にいます。つまり、お客様のニーズを生産者さんに還元できるし、自社や提携先の生産者さんがつくった食材に対するこだわりを、我々が店舗にいらっしゃったお客様にお伝えできる。しかも、相互を橋渡すだけでなく、第1次産業の活性化を通じて、その産業が根ざす地域にも貢献していける。当社で働いていることは、単にお客様に喜んでいただくだけのものではなく、それ以外の価値も創出できる、これまで以上に意義あるものになったのです。 
 
 
 
 

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