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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

紙を卸して60年の老舗
伝統を守り進化し続ける

 

付加価値がつきにくい紙を、どう売るか

 
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専務取締役を務める渡邊睦氏(左)
駒田 では、事業内容を詳しく教えてください。
 
渡邊(裕) 弊社は紙を扱っており、各製紙メーカーが製造した紙を卸販売している会社です。これまでは主に出版用や印刷用の紙を販売してきました。
 
駒田 主要な取り引き先は出版社になるのでしょうか。
 
渡邊(裕) 出版関係のほか、印刷や製本の会社様ともお取り引きがあります。お客様には、各商品の特徴を細かく説明し、紙を選ぶ段階からお手伝いさせていただいております。
 
駒田 一言で紙といっても、たくさんの種類がありますよね。現役時代、恩師である荒川博さんから、精神を集中して日本刀で紙を切る訓練を受けたことがあるんです(笑)。今では日本刀を使った訓練を行うのは難しいでしょうね。でもこれは、私が尊敬する王貞治さんの一本足打法を生み出した訓練なんですよ。そのとき、似たような紙でも刃物で切ると感触が全然違うと思いました。新聞紙も、各社で紙のキメが違いますよね。
 
渡邊(睦) 製紙メーカーによって品質・色合いの違いはあります。ですから、弊社では原価の計算なども含め、商品である紙についてお客様に細かい部分まで説明させていただいております。
 
渡邊(裕) 加えて、いかにして付加価値のあるサービスを提供するかという点にも力を入れています。そもそも紙は、いろいろな会社で同じ商品が販売されているため付加価値をつけにくいんです。だからこそ、誠意をもって丁寧にお取り引きをすることが重要になります。弊社では、担当の方のご要望を深く理解したうえで、お客様に寄り添ったサービスに努めています。
 
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駒田 商品としてのバットも、似ているかもしれません。製造元が同じなのに販売先が何社もあるというバットが多いんです。さらに、同じバットでも会社のネームバリューによって価値が変わる。そういった事情は、紙もバットも同じようですね。
 
渡邊(睦) そうですね。近年は紙の品質に加え、印刷技術も向上してきた背景もあり、以前よりは紙の選択肢が増えました。
 
駒田 それは、野球のユニフォームと似ていますね。昔は編み込みでデザインされていた部分が、技術の向上で今はプリントになっている。編み込みでなくなった分、軽くて涼しく、着心地が良いんです。