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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

知的障がい者と共に歩み
奥多摩に根づいて30年

 

カフェオープンでさらなる交流の場を

 
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奥多摩の広々とした空を背景に園生の作品を展示
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園のみんなで軽井沢に旅行した際の記念写真
川上 カフェの運営もされているとおっしゃいましたね。
 
山下 はい、「カフェレストランSAKA(サカ)」といいます。人はそれぞれ、人生で登らなければならない坂道があり、坂の先には幸せが待っている――そうしたさまざまな思いを店名に込めました。園生たちと地域内外の人々との交流の場として、2013年に就労継続支援B型事業所としてスタートした頃は、「この山奥ではクマやキツネしか来ないだろう」と言われていたものです(笑)。
 
川上 素敵な店名ですね。カフェをオープンし、従業員として働く園生に変化はありましたか?
 
山下 仕事の内容から「無理だ」と言っていた人もいましたが、今では楽しそうに一生懸命に働いてくれています。地域の人が足を運んでくれるのはもちろん、最近では遠方からもお客様が訪れてくれるようになりました。
 
川上 園生は成功体験を自信につなげ、お客様には障がい者でも「仕事ができる」と、理解してもらえる絶好の場所ができたわけですね。
 
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山下 そのとおりです。メディアではネガティブな部分が取り上げられがちなので、やはり、ポジティブに注目してもらうことが大事。そのためにも、まずは私たちの存在を知ってほしいですね。障がい者を「可哀想」と言う人もいます。しかし、本人が望んでそうなっているわけではないし、持って生まれたものを背負いつつ、全力で人生をやり抜こうと生きているんです。
 
川上 園生やこういった支援施設が、より自然な形で知られていくのは重要だと思います。椎茸栽培と同様に、カフェも交流場と仕事の両面を兼ねているのはお見事です!
 
山下 サポートしている職員たちも大変なことは少なくない中、園生と職員が共に成長していってくれているのは、ありがたいし実りがあります。ちなみに、職員は週休2日制で、お給料もそれほど悪くはないですよ(笑)。精神的にタフでないと厳しいときもあるとはいえ、やりがいは間違いなくありますので、ぜひ若い方にも参加してほしい仕事ですね。