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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 大分県出身。防衛医科大学を卒業後、心臓血管外科で医師として勤める。多くの経験を積んだ後、循環器科として独立。全国の医療機関に電子カルテの使用が推奨された際に、その入力の不便さに疑問を感じ、マウスの操作だけでほとんどの入力が可能なカルテ「HeartBase」を自ら開発。雑誌に掲載されたことから大きな反響を呼び、製品化に乗り出した。【ホームページ
 
 
 
医療現場に遅々として導入が進まない電子カルテ。理由は入力の際に多くの確認が必要になり、紙のカルテに比べ手軽さに劣るからだ。埼玉県ふじみ野市にある、医療法人あんべハート・クリニックの理事長、安倍次郎氏は豊富なコンピュータの知識を駆使し、現場の医師による現場の医師のための独自電子カルテ「HeartBase」を開発。2016年の春から販売に乗り出した。医師が患者と向き合える環境をつくる、近未来型電子カルテの内容とは──。
 
 
 

稼働率が5%しかない電子カルテ

 
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インタビュアー 川上麻衣子(女優)
川上 埼玉県ふじみ野市のあんべハート・クリニックさんは、循環器科・内科・心臓血管外科のクリニックだそうですね。今日は安倍院長自ら開発したという新しいタイプの電子カルテ、HeartBase(ハートベース)についてお聞きしたいと思います。まさか現場のドクターが開発されたとは本当に驚きました! どのようなご経歴を?
 
安倍 私は1983年に防衛医科大学校を卒業し、同大学付属病院や帝京大学医学部付属病院に勤務しておりました。その後独立し、当クリニックを開業したのが2000年です。ちょうど当時は、病院に電子カルテが導入され始めた頃でしてね。情報の共有化がしやすいうえ、古いカルテを倉庫から引っ張り出してくる必要がなくなるといったメリットが謳われました。しかし、電子カルテにはデメリットも多く、現在でもあまり使われていないのが現状なんですよ。

川上 そうだったのですね。電子カルテという言葉は一般に広く知られている印象があるので、医療現場ではすでに浸透していると思っていました。ちなみに、普及率はどれくらいなのですか?

安倍 大学病院や大規模な病院では、ほぼ紙のカルテから電子カルテに置き換わっています。しかし、全国に10万件あるクリニックでの導入率は20%ほど。実質的な稼働率は5%程度とも言われています。

川上 えっ! たったの5%ですか!? 想像以上に少ないですよ。クリニックでの導入が進まない理由は、どこにあるのでしょう。

安倍 電子カルテの最大の問題は、日本語特有の「かな漢字変換」にあります。アルファベットと違って日本語を入力する際は、必ずモニターで変換された文字を確認しながら打たなければなりません。同じ読み方でも、違う意味、違う漢字が山ほどありますからね。すると頭の中での思考や患者さんとの会話が途切れ、診察そのものに支障をきたすようになってしまうんです。