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まずは健康な体づくり

 
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 
 オーストラリアに進出するにあたり、これまで様々な角度からビジネスの可能性を述べてきました。しかし、私は重要な事柄を忘れていたようです。それは 「健康」 です。
 健康のありがたみは、健康でなくなってから初めて気がつくもので、かく言う私も昨年末に体調を崩して少なからず業務に影響を与えてしまい、健康のありがたみを再認識しました。
 心身が健康でなければ、せっかく良いビジネスプランや商材があったとしても、ビジネスでの成功はあり得ません。異国が舞台となるとなおさらです。戦略やノウハウを唱える前に、健康的な体を維持する。これが大前提になります。
 
 

転ばぬ先の保険

 
 常に健康に気をつけていても、それでも体調を崩してしまうことは必ずあります。私の経験では、オーストラリアに長期滞在を目的として渡豪したほぼ100%の人が、3ヶ月前後に風邪を引いたり、体調不良を訴えます。
人間の緊張は長期間維持できるものではありません。環境に多少なりとも慣れてくると、「ぴ~ん」 と張り詰めていた緊張の糸も、切れてしまいます。渡豪直後の気を引き締めているタイミングでは大丈夫でも、緊張の緩んだ時には、体調を崩しやすいものです。その緊張の糸が切れるのが、だいたい3ヶ月前後になります。2~3日寝込んで治る人もいますが、だいたいの人が、この時期にオーストラリアで初めて、医者の厄介になります。幸運にも2~3日寝込んで治った人でも、長期滞在ともなると、確実に数回は医者の世話になります。
 
 日本人で、日本国内で何らかの医療サービスを受けた場合には、国民健康保険で医療費の大半を国が負担してくれます。オーストラリアにも同様に国民健康保険が存在します。ただ、オーストラリア国籍または永住権保持者以外は、この保険の対象外になります。
 オーストラリアの医療費は、目が飛び出るほどの金額を要求されます。 そのためオーストラリアで長期、短期問わず滞在する場合には、海外旅行保険に加入することを強くお勧めします。せっかくオーストラリアに来たのは良いけれど、膨大な治療費のお蔭で資金がなくなり、ビジネス以外の理由で撤退なんてことになっては目も当てられません。
 
 

実際のケース「保険にさえ入っていれば・・・」

 
 実際の話ですが、過去に、日本出国前に加入すべきだった海外保険の保険代を惜しんだばかりに、とんでもない状況になってしまった人もいます。
 オーストラリアに来て2ヶ月経った頃、その方は夜中に突然猛烈な腹痛に見舞われ、病院に緊急搬送されました。医者の判断は急性虫垂炎。つまり盲腸です。盲腸は薬でも散らせますが、化膿しているらしく手術が必要との判断で手術を行いました。手術自体は無事に成功し、痛みも収まりましたが、その後の請求書を見てびっくり!! たった3日ほどの入院でしたが、日本円で100万円を超える高額治療費を請求されました。治療を受けた当人は、当然そんな持ち合わせはなく、急遽日本の両親に連絡を取り、送金をしてもらいました。
 その方はワーキングホリデービザで1年間オーストラリアに滞在する夢を持って渡豪しましたが、不幸にも、そこで夢はストップせざるを得えませんでした。
 「保険にさえ入っていれば・・・」 その方の悔しそうな声が、今でも、耳に残っています。
 
 各保険会社が用意している海外旅行保険は、私から見ても非常に優れています。プランによっては、治療費だけではなく携行品の特記条項も含むことが可能で、盗難にあった場合もカバーされています。
 オーストラリアの国民健康保険は、日本よりも国の負担額が4~5割程度と低く、しかも歯、目の治療は健康保険の対象外になっています。また日本では保険の対象内となっている、PETなどの医療機器を使用した治療が対象外となっているケースが多いので、私を含めた現地の人間は、無償で加入できる国民健康保険の他に、個々に民間の保険会社に加入するのが一般的です。
 また日本では救急車は、非常時には無料で駆けつけてくれますが、オーストラリアでは有料で、病院まで搬送される際には救急車が走った距離に応じて費用が加算されます。これをカバーする民間の保険に加入していれば良し。入っていなければ、緊急の病気であっても、「タクシーで病院まで自分で移動する」 という、笑うに笑えない状況に陥る可能性があります。せっかくビジネスに来ているのに、こんな無駄な費用は使いたくないですよね。
 
 

オーストラリアで病気になった場合には

 
 「滞在中医者のお世話にならない」――これが最良なのはいまさら言うまでもありません。でも、もし万が一医者の手助けが必要になった場合には、どのような手続きを取れよいのでしょうか。
 まずは最寄りのGP(General Practitioner)と呼ばれる一般医に連絡を取ります。主要都市には、日本語が話せる医者がいますので、言葉が不安でも問題ありません。
 ただ問題は、体調が悪く今すぐに診察を受けたい場合に連絡しても、「予約でいっぱいです。3日後ならば取れます」 と、日本では考えられない回答を受ける場合があります。風邪や体調不良など、ちょっとした病気であれば、このGPで事が済みますが、そこで手が余る場合には、スペシャリストと呼ばれる専門医を紹介されます。
 専門医の判断次第では、当然手術や、特別な治療を行う場合があります。また専門医の診断を受ける場合には、必ず 「民間の保険に加入しているか」 を聞かれます。医者は治療費の取りっぱぐれを危惧しているので、保険の有無によって治療方法が異なり、最悪の場合、高度な医療機器や技術を使用すれば一度で治療が済むところを、何度も痛い思いをして治療を受けなくてはならなくなることも考えられます。残念ながら、日本だけではなくオーストラリアでも、「医は仁術」 というのは今は昔の話で、医はお金です。
 「自分の身は自分で守り、健康な体を維持する」――基本中の基本ですが、これが海外でビジネスを成功させるための、最初の秘訣と言えます。
 
 
 
 
  南半球でビジネスを考える ~オーストラリア在住・日本人経営コンサルタント奮闘記~
vol.22 オーストラリアの医療制度

 執筆者プロフィール  

永井政光 Masamitsu Nagai

NM AUSTRALIA PTY TLD代表 / 経営コンサルタント

 経 歴 

高校卒業と同時に渡米、その後オランダに滞在し、現在はオーストラリア在住。永住権を取得し、2002年にNM AUSTRALIA PTY TLDとして独立。海外進出企業への支援、経営及び人材コンサルティングを中心に活動中。定期的に日本にも訪れ、各地で中小企業向けの海外進出セミナーなどを行っている。

 オフィシャルホームページ  

http://www.nmaust.com/

 ブログ  

http://ameblo.jp/nm-australia/

 
 
 
 
 

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