B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

トピックスTOPICS

繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.36 アメリカに新しいビジネスが現れやすい理由

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.36 アメリカに新しいビジネスが現れやすい理由 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

ビジネス
こんにちは、佐藤勝人です。消費税が上がりましたね。B-plusの読者は小売業者だけじゃないと思うけど、それぞれビジネスにどんな影響がありましたか? 私はといえば、サトーカメラの事業のほうはもろ最終消費者相手のビジネスだから、だいぶ知恵をしぼって仕掛けました。いずれその話もするだろうけど今回はアメリカ西海岸に行ってきたばかりだから、その話をしよう。
 
 

ピックアップ方式の普及が
アメリカで急速に進んでいる

 
glay-s1top.jpg
URBAN necessitiesの商品案内のスマホ画面
いやー、すごかった。今回も強烈だった。「テクノロジーを使うというのはこういうことか!」と思った。アメリカは「ピックアップ」式の買い物にどんどん移行しているよ。たぶん、そういうソフトウェアをシステムごと売り込む会社に投資家の資本が集まっているんだろうけど、モノを売る店が軒並みピックアップ方式を導入しつつあった。カリフォルニアのアナハイムで見たWalmartも、ラスベガスで見た家電量販大手のBest Buyも、書店大手のBarnes &Nobleもそれで復活していた。
 
ピックアップ式の買い方がどういうものかというと、要は従来の小売店にあった3つの問題を解決するものだ。その3つとは
1.広い店で目当ての商品を探すのが面倒
2.在庫が有るのかないのかわからない
3.なければ注文して再来店しなきゃならない
という問題だ。ピックアップ方式はこれらの問題を一挙に解決する。ポイントは「オンラインとオフラインの融合」だ。オンラインでつながることでお客さんは予めネットで注文できる。商品が揃うと店からメールが届く。後はお店に取りに行くだけ(Pick Up)だ。
 
少し前から始まっていたトレンドだけど、今回ほど現場が本格的に変わったと感じたことは今までなかった。だってWalmartなんか、普通のレジが全体の3分の1まで減らされていたからね。3分の1だよ!? 代わりにピックアップ専用のレジが3分の1を占め、スキャン&GOとセルフのレジも3分の1に増えていた。店は内だけじゃなく外も変えて、ピックアップで買うお客さん専用の駐車場を入り口付近に新たに設けていた。
 
究極がURBAN necessitiesだ。靴の転売ショップで、本社があるニューヨーク店とラスベガス店の2店舗しか展開していない。この店の何がすごいって、レアスニーカーという超マニアックなジャンルを扱うのもすごいんだけど、店頭表示が一切ないの。代わりに現品に付いているタグからQRコードかバーコードをスマホで読み取ると、その靴のモデル、型式、色、製造年度、未使用品か中古か、どっちの店にどのサイズの在庫が何足あるかが出る。ニューヨーク店にあるものが探している条件に適うならスマホで注文して決済すれば自宅に送ってくれる。ラスベガスのその店で今手にとっているその現物が欲しければ、その場で買って持ち帰ることもできるし、自宅配送も選べる。
 
 

ビジネスの成り立たせ方と
資金のつくり方が全然違う

 
これだけでもお客さんはメリットがあるけど、私がもっと本質的な意味でピックアップ方式のすごみを感じたのは、「そのサイズ・色・製造年度・モデル」のものがもう全米に1足しかなくても一般向けのビジネスが成り立つところだ。
 
骨董業者が一部の好事家相手にこれをやるのならわかる。好みを聞いておいて出物があれば「旦那さん、見つかりましたよ」で利益をがっぽり乗せて商売成立だ。でも普通は、日本の一般向けの小売りは、例えば靴ならせめて50足ロットがないとそのアイテムに手を出さない。いや、出せない。手間を含めた扱いコストが儲けと見合わないからだ。
 
でもアメリカは、テクノロジーによって扱いコストを徹底的に省くことで、結果的に費用を抑えて一般の人でも一点物のレアアイテムの世界を楽しめるようにする。それによって新しいビジネスを成立させる。コストを費用でしか考えられない日本とは発想の仕方が根本的に違う。
 
違うのは資金のつくり方もそうだ。アメリカには銀行とは別に「エンジェル」と呼ばれる投資家がいて、有望と見込んだ企業や個人に積極的に投資を申し出る。上場する前から他人のお金でビジネスを始められるわけだ。かたや日本は、最初は担保を差し出して銀行を説得して自分で資金を引っ張ってくるしかない。それじゃよっぽどでないと新しいビジネスは現れないよね。
 
 

日本こそ「拝金主義」
お金は手段か、命の糧か

 
この差は何だろう、どこから違いが来るんだろうかと考えて、ひとつ仮説を思いついた。日本とアメリカではお金のありがたみの“質”が違うんだよね。向こうではお金は単に「手段」だ。大事なのは自分が手に入れたいと感じているモノやサービスであって、お金はそれらと引き換えに渡す紙や金属に過ぎない。だから紙幣がくちゃくちゃでも気にしない。
 
日本の場合、お金はもともとは米だった。米は食糧だ。生きるための食べ物だ。だから日本人は500円玉をこうやって眺めながら、心のどこかで無意識に、これがそのまま命の糧だと感じているのかもしれない。だからお金を大事に扱うし――紙幣を「お札」と「お」を付けて呼ぶのもそれだ――、小銭がポケットにじゃらじゃらでも気にならない。むしろ現金の重みを感じて嬉しい。クレジットカードが欧米ほど一般的にならないのもそれが理由だ。
 
そう考えると、日本のほうがよっぽど「拝金主義」かもしれないよ。お金の現物を崇拝するという意味でね。
 
 

「うっかり払い忘れ」から
目当ての結果を得た話

 
これは知り合いの社長から聞いた話なんだけど、彼の友だちの経営者が、いくつかある店のうちの一つをずっと閉めたかったんだって。でもテナントの契約期間が残ってたから難しくて、相手先と何度か交渉したけど埒が明かなかったらしい。で、他の事業もあるからバタバタするうちになんとなく部下任せになっちゃって、そしたらその部下が、家賃の払い込みをうっかり忘れていたんだそうだ。3ヶ月ぐらい忘れたままで、相手先から連絡が来て延滞が発覚した。
 
で、謝りに行ったんだけど、どうせだからと思って駄目元でもう一回、店を閉めたい話を蒸し返したらしい。そしたら向こうは「わかりました」ってあっさり受け入れて、契約打ち切りになったんだって。「それまでは何だったんだ、キツネにつままれたみたいだ、って話してましたよ」と、私の知り合いのその社長も不思議そうだった。

私が思うに、これ、結果的に欧米流の「お金を手段として使う」やり方になってたんじゃないかな。
 
日本人はお金を大事にする。だからその延長で「お金に顔向けできないようなことはしちゃいけない」と考える。払うべきものは払ってから交渉しようとする。
 
でも欧米の感覚では、お金は「手段」だ。契約を続けたくないならその意思を示す手段として「払わない」という行動に出ることもある。相手もそれがわかっているから、日本みたいに「踏み倒しだ!」と一方的に責めて扉を閉ざすようなことはせず、むしろ強く交渉したがっているサインと受け取って早めに話し合いの場を設けようとする。結果、日本みたいに陰湿なこじれに発展する前の段階で結論が出て、お互い次に進むことができる。
 
・・・お金というものを客観的に見る感覚を、これからの日本人は身につけるべきかもしれないね。世界を相手にビジネスをするうえではね。
 
10月16日~11月30日までの勝人塾
■10月16日とやま勝人塾IN黒部
事務局/フォトサロンドン
https://www.facebook.com/events/2576234145754919/
 
■10月23日とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2306599006132816/
 
■10月28日わかやま勝人塾IN紀伊田辺
事務局/藤原農機
 
■11月2日中国輸出入交易会視察セミナーIN広州
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2407581989561429/
 
■11月6日PIO勝人塾IN郡上大和
事務局/郡上商業開発
SOLD OUT
 
■11月8日おおさか勝人塾IN大阪
事務局/経営コンサルティングアソシエーション
https://www.facebook.com/events/708302099623170/
 
■11月11日・12日おかざき勝人塾IN岡崎
事務局/岡崎商工会議所
SOLD OUT
 
■11月13日にいがた勝人塾IN巻
事務局/おぐま式POP塾
 
■11月15日とうほく勝人塾IN八戸
事務局/やまはる
https://www.facebook.com/events/569733463843677/
 
■11月18日とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/894053534296287/
 
■11月20日〜26日アメリカ西海岸商業視察セミナー
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2367147526885353/
 
 
第17回「ニコニコチャンネル ニッポン勝人塾」(10/21 15:00 – 16:00)の告知
 
■佐藤勝人講演・セミナー依頼
個別支援等々のお問合せは
https://jspl.co.jp/contact/
 
 
 
繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.36 アメリカに新しいビジネスが現れやすい理由

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役副社長/日本販売促進研究所・商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司・チーフコンサルタント/作新学院大学・客員教授/宇都宮メディアアーツ専門学校・特別講師

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2019.10.16)
 

関連記事

最新トピックス記事

カテゴリ

バックナンバー

コラムニスト一覧

最新記事

話題の記事