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本誌6月号の一章、マーケティングについて5回に分けてつづった二章に続いて、「イノベーション基礎学」と題してお送りするこの連載も第三章に入った。この章ではITと生産性の関係について考える。
 
 

グローバル化におけるIT

 ITは便利で機能的だと誰もが認めるところである。たとえば、通信技術とコンピュータシステムを融合(コンバージェンス)させて、新たなビジネスモデルの創出も可能だ。
 アマゾンや楽天などのショップモールに代表されるが、流通販売の手段・方法が変わると、善きにつけ、悪しきにつけビジネスシーンにさまざまな影響が出る。
 たとえば、デパートの年間売上をコンビニと通販の年間売上合計が上回ったと日経新聞が報じた(2009年6月26日・朝刊)。モノを買う動機や買い方が多元的に、かつ多種・多様になってきた影響が現れた例である。個人がモノの価値を決定する際の意識の変化によって、wantsも変化し、新しいカタチを得て社会現象となるのである。
 ITの話に戻ろう。ITは、「時間・空間」を瞬時に移動する。その情報量はと言えば、人類史上の経験知で計り知ることのできるようなスケールではない。その驚くほどの情報のスピードと量をコントロールしているのは「通信」の技術の進化である。
 
 通信技術と情報処理技術のコンバージェンスは新しいビジネスモデルを創出し、それらを利・活用したビジネスモデルは、さらに進化していくだろう。そこで必要となる多元的・複合的情報を操作する手段がインターネットであり、それを実際上で運営しているのがサーバーと情報処理技術である。
 たとえば、ITの情報処理能力というのは、大気圏外の宇宙へ行って戻ってくる軌道計算の演算処理をしたり(スーパーコンピュータ)、宇宙の誕生の秘密に迫ったり、体にメスを入れないまま体の中の状態を解明したり、以前は扱えなかった現象を多面的かつ精緻に複合解析処理してくれる。
 その具体的な内容は情報処理技術のデジタル化への進歩であり、画像処理技術の高度化である。
 身近な例が携帯電話だ。手の平の中に入る大きさで、どれほど大量かつ高度な情報処理がなされているか・・・・・・。技術は日進月歩といわれるが、なかなかどうして、その程度のノロマなスピードではなく、秒速単位でITは進化している。
 そのことを考えると、「携帯電話」とは実は名ばかりで、その機能や利便性は会話機能がメインの電話の範疇にとうてい収まるものではない。画像処理にはじまって、お金の決済、エンターテイメントを聞いたり観たり、さらにはGPSによる所在特定など、考えようによっては通常のコンピュータ以上の役割を果している。
 このように理解していくと、IT技術は生活・暮らしのなかに溶け込んでおり、我々はそれによって高度で高品質の情報を、意識するともなく、疑問に感じることもないまま、昼夜分かたず活用している。携帯電話に至っては、それなくしては一日の生活・社会が成り立たないと言ってよい。
 
 
 
 
 

橋本英夫 イノベーション基礎学 ハッピー

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