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◆「ドローン=怠惰な雄蜂」に集まる注目

 
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 昨2015年12月、主にドローンを対象とする改正航空法が施行された。法規制の不備もありドローンによるトラブルが耳目を集めたことから急遽施行されたものだが、その大きな利点に注目する企業も多く、施行前には実利目的での利用を図る多くの企業から許認可の申請が相次いだ。他にもドローン関連情報を専門的に扱うサイト「DRONE Media」が登場するなど、「空の産業革命」とも呼ばれるドローンを巡って、利用を望む民間とようやく法整備にとりかかった国、双方の動きが急加速している。無人機で空をつなぐ新技術について、次世代のインフラとする呼び声も高い。
 
 ドローンは無人航空機の総称で、もともとは「雄の蜜蜂」を指す言葉。由来については諸説あるが、第一次大戦中に英国で開発された標的機「DH.82B Queen Bee(女王蜂)」にちなんで名付けられたという説が有力だ。一般的なものは複数のローターにより浮力と推進力を得て飛行し、ヘリコプターのように垂直離着陸する。コントローラーでリアルタイムに操作しながら飛ばすことができる他、あらかじめセッティングされた航路を自動的に航行して目的地にたどり着くことができるため、様々な用途への応用が期待されている。
 
 「雄の蜂」は働かないことから、ドローンという言葉には「怠け者」の含意もあるが、世界の空を飛ぶ器械のドローンは働き者になりそうだ。
 
 

◆日本で、世界で模索されるドローンの使い方

 
 ドローンの特性は大きく分けて2つある。1つは言うまでもなく「空を飛ぶこと」であり、この特性により山や川などの地上の障害物に遮られることなく二地点間を最短で結ぶことができる。もう1つは前述の通り「自律航行が可能であること」だ。そのため操作の手間がかからず、利用するのに熟練を要しない。
 
 現代社会にはこういった特性を活用できる分野が多く、世界中で様々な使い方が模索されている。中でも最も有名なのは世界的なEC大手amazon社が実証実験を進める宅配サービスだろう。倉庫から飛び立ったドローンが各家庭に物品を配達するというもので、カナダではすでにテストを繰り返している。その他にも、空撮や農薬散布などの農業支援、警備、設備の保守点検、原発の事故現場など人が入れない場所での作業や災害救助など、ドローンを活用できる範囲は幅広い。
 
 安倍首相も2015年11月、「ドローンによる宅配サービスを3年以内に実現する」との目標を発表。秋田県仙北市に設定された近未来技術実証特区ではすでにドローン配達の実証実験を実施している。少子高齢化により人手不足が今後さらに深刻化する日本にとって、ぜひとも導入を急ぎたいデバイスであるという認識は官民ともに共有されている。
 
 

◆崩壊しつつある「配達」を救え!

 
 ドローンを活用したい分野として、最も注目されるのはやはり「配達」だろう。宅配や郵便など日本の「配達」業務は現在、危機に瀕している。どういうことか。
 
 ECの拡大などにより、宅配便の取扱量は近年急増してきた。昨年6月に国交省の物流審議官部門物流政策課がまとめたレポートによると、1994年には1245万個だったのが、2014年には3614万個と、20年間で約3倍に増加している。
 
 くわえて、共働き世帯の増加などにより日中は荷物を受け取れない世帯が増えつつある。ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社が2014年12月に実施したサンプル調査によると、荷物が一度で配達できず再配達を要した割合が平均19.6%にのぼるという。配達コストが増大すれば、現在活況を呈しているEC市場にも悪影響を及ぼしかねず、経済全体への悪しき波及効果も懸念される。人がまばらな過疎地の事情はさらに深刻だ。配達業の効率が極端に悪いため、生活するうえで必須のインフラである郵便網の維持すら不安視する声がある。
 
 
 

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