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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
Mリーグの「TEAM RAIDEN/雷電」に所属するプロ雀士として5年目を迎えた萩原さん。今年が節目の年だという萩原さんに、雀士としての楽しみを聞くと、笑いながら「きついだけですよ」と語ってくれた。
 

雀士としての節目の年となる

 
雀士としての活動は、きついですよ。勝ち越していたら楽しいのかもしれません。ただ、成績が振るわないと、勝ち負けのはっきりしている世界なので難しいです。僕は芝居を始めるより早くから麻雀に親しんでいて、この競技に魅せられています。麻雀の傍らに俳優業がある感覚でしょうか。だから、Mリーグが発足して雀士として選んでいただいたときに、「やるべきだ」という使命感のようなものを勝手に抱いたんです。
 
僕は負けず嫌いなので、絶対に勝ちたいし、毎年勝つという気持ちでシーズンに臨んでいます。ただ、「どうしてもあのタイトルがほしい」などの気持ちがあるかというと、そういうわけでもないんです。それよりも、麻雀の楽しさを伝えたい気持ちが大きいかもしれません。これを勝ち越しているときに言ったらかっこいいんですけど。負けが続いている状態で言うと、拗ねているように思われるかもしれませんね。
 
周囲からの声がモチベーションになっているのは、俳優業と同じです。ただ、麻雀は勝負事なので、負けるとネガティブな声も多く届きます。そういった声を自分の中で昇華するのには、時間がかかりましたね。僕にはたくさんの大切にしている人たちがいるので、そのコミュニティを軸に、彼らを守ったり、つらいときは守ってもらったりしながら活動を続けていけばいいと今は思っています。
 
5年目である今年は、麻雀に対する思いや、勝ちに対する執念をすべて詰め込んだ年になるでしょう。プロ雀士としての活動を始めたときに、「5年は頑張ろう」と決めました。その結果がどうなるのか、見ていてもらいたいと思います。
 
俳優業でも雀士としてでも、運と縁が大切なのは通じています。何かを勉強する際には、書籍を参考にすることがあると思います。それも縁の一つです。もちろん、ときには悪縁もあります。ただ、悪縁によって何かを失敗しても、それが一つの経験になるんですよ。その失敗を乗り越えられるのかどうかです。
 
多くの良縁に恵まれるには、素敵な人たちが集まってくるような人間でなければいけませんし、そういう人でありたいなと思っています。結局、「かっこいい」に収束するんですよね。人が集まるような、優しい、素敵などすべてが詰まった「かっこいい」に憧れて生きていきます。それが究極のテーマですね。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク 小口あづさ)
 
 
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萩原聖人 (はぎわら まさと)
1971年生まれ 神奈川県出身
 
1987年、俳優デビュー。テレビドラマ『はいすくーる落書2』(90)で注目を集め、その後も人気ドラマに立て続けに出演したほか、日本アカデミー賞優秀助演男優賞やブルーリボン賞助演男優賞など数々の賞を受賞。近年は映画『Fukushima50』(20/若松節朗監督)、『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21/森義仁監督)、『島守の塔』(22/五十嵐匠監督)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(22/三木孝浩監督)、『餓鬼が笑う」(22/平波亘監督)など話題作に出演。2018年からは「TEAM RAIDEN/雷電」に所属するプロ雀士としての活動もスタートし、垣根を越えた活躍を続けている。11月6日よりKERA・MAP#010『しびれ雲』(下北沢 本多劇場ほか)に出演する。

KERA・MAP#010『しびれ雲』
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/shibiregumo
 
 
(取材:2022年9月)