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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


 
プロフィール 1954年生まれ。福島県出身。駒澤大学から1975年にドラフト3位で読売ジャイアンツに入団。4年目から三塁手としてスタメンに定着した。1981年に一塁手にコンバート。以降、読売ジャイアンツにおいて安定した打率を残すとともに、守備でもチームに大きく貢献し続けた。1989年、現役最後の試合となる日本シリーズ第7戦では代打出場でホームランを放ち、自らの引退を飾った。現役時代はゴールデングラブ賞を7度獲得。労働組合日本プロ野球選手会の初代選手会長も務めた。引退後は解説者、読売ジャイアンツの打撃コーチなどを務める。2004年にアテネ五輪日本代表のヘッドコーチに就任。監督の長島茂雄氏が病に倒れたため、代行してチームを率い銅メダルを獲得した。2012年から横浜DeNAベイスターズの監督として采配を振るっている。
 
 
現役時代は 「絶好調男」 「ヤッターマン」 の愛称で野球ファンに愛された中畑清氏。長嶋茂雄氏、王貞治氏の両名、いわゆる “ON” が引退した後の読売ジャイアンツでスター選手の1人として活躍した。2012年、横浜DeNAベイスターズの監督に就任以降も、持ち前のキャラクターでファンに愛され、報道陣に対しても愛嬌ある発言で場を沸かせている。監督としての重責を担いながら、周囲へのサービス精神を欠かさない中畑氏。しかし、そうした言動はプロとして仕事を全うするため、意識的に行っていることでもあるらしい。中畑清氏の仕事観、そしてプロとして果たすべき仕事のうえでの心構えとは――。
 
 

自分の役割を認識し、明確な目的意識を持て

 
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 「楽しい仕事をしよう」 「仕事を楽しもう」 と言葉にするのは簡単です。でも、仕事が楽しい時なんて、そうはないですよ。辛く苦しいことのほうが多いと思います。私は野球という勝負の世界に身を置いているのだから当然ですが、仕事が過酷なのはどの分野の業務に携わる人も同じだと思いますよ。そんな厳しさの中で一生懸命、熱中し続けた結果として目標を達成できた時にこそ、飛び跳ねたくなるような喜びの瞬間がやってくる。「仕事の楽しさ」 とは、そういうものではないでしょうか。
 簡単に楽しめるものではないからこそ、仕事には目的意識をしっかりと持つことが大事ですね。そして、置かれた状況の中で自分の役割をきちんと把握し、それを全うする必要があります。たとえば、読売ジャイアンツでコーチを勤める川相昌弘。彼は現役時代、技術と自己犠牲の精神を併せ持つ真のバント職人でした。本当は彼だって、ヒットを打ちたくてしょうがないんです。でも、チームのためにバントが求められる試合状況が必ずある。その時彼は、期待されるプレーをしっかりとこなし続けた。だから、あれだけの名選手になれたのです。彼の技術は、プロ選手として自分が生き残るために、試行錯誤して磨き上げた職人芸です。彼のように自分の役割を認識し、そのうえで明確な目的意識を持つことは、どこの世界でも必要です。目的が明確になれば、一心不乱に努力できますから。
 私も現役時代には本当にいろいろな悩みや迷いがあったし、監督になった今でもそうです。だけど、チームを勝たせるという明確な目標のために全力を尽くす。その点についての迷いはありません。それが監督という仕事に課せられた使命ですからね。
 
 
 
 

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