
インタビュアー 宮地真緒(女優)
矢野 1983年に大学を卒業した私は大手商社に就職し、繊維部門に配属され56歳まで勤務しました。その間、世界を相手に多種多様な商品を仕入れ、販売し、また中国には17年ほど駐在していました。中国のグループ会社(製造業)の社長を務めた際は、営業力強化と生産の効率化により黒字転換に成功しましたが、その後は事業の売却や社員の大量解雇も経験してきました。
宮地 海をまたいで、酸いも甘いも噛み分けてきた営業と経営のプロですね。
矢野 ありがとうございます。2016年に退職して当社を設立し、日本と中国の間での繊維品の販路開拓を主な事業としています。数年前、中国企業と共同開発した商品は今でもお店で売られています。さらに昨年2024年に中小企業診断士の資格を取得、東陽中小企業診断士事務所を開設し動き出したところです。中小企業診断士として行いたい事は、長年の経験に基づくノウハウと専門家としての知見を活かして日本の中小企業を元気にすること、これまでお世話になった大勢の方々の顔を思い出しながら、自分の経験を少しでも社会に還元できればと考えています。

矢野 私は、モノを作る企業とモノを売る企業とをつなぐ仕事をしてきました。その中で感じ、今も大切にしているのは徹底的に相手の方のお話を聞く事です。例えば会社の社長さんは必ず何かしらの悩みを抱えています。仮にどこに課題があるか分かっていれば比較的簡単なのですが、多くの方はどこに問題があるのかが分からず、「なぜか調子が悪い」「もっと儲かるはずなのに」とお一人で悩まれていらっしゃいます。社長は孤独ですからね。