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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

ヤングケアラーを照らす
訪問介護という“光”

 

誰もがヤングケアラーになり得る時代

 
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 ヤングケアラーと訪問介護の事業は、どのように結び付くのでしょうか。
 
今井 先ほど、私も父子家庭で育ったと申し上げました。小学校3年生のとき、両親が離婚したんです。私は、地元でやっていた少年野球を続けたいという理由で父親のもとで生活することになり、5歳下の弟は母親と生活することになりました。母には障害があったので、弟は介護に明け暮れた結果、不登校になってしまったんです。結局、小学校・中学校を不登校のまま過ごし、高校もすぐに辞めてしまいまして。私は、父のもとで高校生まで大好きな野球を続けることができました。でも、もし私が母親と生活することになっていたら、弟のようになっていたかもしれないですよね。
 
 ヤングケアラーの問題と隣り合わせで生きてきた、というのはそういう意味だったんですね。
 
今井 もしもそのときに、週2回でも3回でもヘルパーさんが母の身の回りの世話をしてくれるような環境だったら、弟は不登校にはならなかったかもしれません。そう思ったときに、訪問介護の仕事をすることで潜在的なヤングケアラーの問題を解決できるのではないかと考えたんです。
 
 訪問介護のお仕事をされる前は、どのようなお仕事をされていたんでしょうか。
 
今井 高校卒業後は、アパレルの仕事に就きました。アパレルの仕事で独立したいと思っていた時期もあったんですよ。でもなかなか難しかったので、勤めていた会社を辞め、何とか転職した後、労務コンサルティングの会社に入社しました。
 
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 労務コンサルティングも、訪問介護事業とは直結しないお仕事ですね。
 
今井 独立志向があったので、労務コンサルティングを通じて、雇用助成金をはじめさまざまなことを学び、起業につなげようという狙いがありました。
 
 そんな中で偶然耳にしたヤングケアラーの悲しい事件を機に、訪問介護で起業しようと考えられたわけですね。
 
今井 はい。また、ちょうど同じ時期に父の兄、つまり私の伯父が難病にかかってしまい、その介護を父が担うことになったのも起業のきっかけになりました。仕事と介護の両立は難しく、いつか父のほうがつぶれてしまうのではないか、と心配になったんです。それで、2022年5月に訪問介護に必要な資格を取り、同年10月に弊社を設立しました。