佐野 この車はもともと色あせたシルバーでした。それで、お客様から「かわいい車にしたい」というリクエストをいただき、「イタリアの海辺が似合うカフェ風のカスタムはいかがですか」と提案してみたんです。下のほうにあっていかついイメージを与えていたバンパーやステップの位置を上げ、真っ黒だったスモークを茶色に変更しまして。昔のギャングが乗っていたような印象だったのを、思い切って愛らしく改造しました。
畑山 かわいらしさの中に渋さもあって非常におしゃれですね! お客さんのイメージを超えたカスタムが、佐野代表の腕前を示していると感じます。そんな佐野代表のご経歴も気になります。
佐野 子どもの頃、両親に連れて行ってもらったゴーカートに夢中になり、スクールに通ってレーサーを目指すようになったんです。やがて、専門学校で車の整備を学び2級ガソリン・ジーゼル自動車整備士と車体整備士の資格を取得しました。その後、名古屋で最も大きなディーラーに就職し、車の整備や板金塗装を担当しました。ここで目標となる上司を見つけてからは、さらに切磋琢磨しはじめましたね。難関のトヨタボデー検定1級の資格も取りました。
畑山 トヨタ独自の資格ですね。かなり難しいのだろうと予想できますよ。
佐野 ええ、鋼板を切って溶接したりパテを盛って修理したりする作業を40分以内で完了させる試験があるなど、とてもハードルが高い資格なんですよ。そして、この資格を取ったことで「さらに上を目指そう」という気持ちが芽生えました。一念発起した私は自動車メーカーに転職し、ここで車のボディパネルを生産する部署に配属しました。安全性を保ったまま0.01mmでも薄いボディを開発するため、日々データと向き合いながら仲間と共に貴重な経験を積んできました。
畑山 板金塗装と開発という異なる分野で腕を磨き、大好きな車にどんどんのめり込んでいったんだなぁ! いよいよ独立の時期が近づいてきたようですね。
畑山 板金塗装と開発という異なる分野で腕を磨き、大好きな車にどんどんのめり込んでいったんだなぁ! いよいよ独立の時期が近づいてきたようですね。