東京都中央区銀座を拠点に理容師一筋で長きにわたるキャリアを積み上げ、今や海外支店まで展開するほどのグループを築き上げたのは、有限会社銀座マツナガの代表取締役社長、松永巳喜男氏だ。今年、2018年で銀座マツナガは創業から50周年。さらに自身も喜寿である77歳を迎え、なおも精力的に活動を続ける松永社長。今後の展望や海外進出への意気込み、そして、これからの理容業界を担う若者たちへの思いをうかがった。
長きにわたる理容師のキャリア

インタビュアー 城彰二(サッカー元日本代表)
松永 はい、理容師一筋です。私は日本に理容学校ができたばかりの頃に学校を卒業し、師匠である理容師の方に師事しました。当時の理容師業界は古くからの慣習が残っていて、いわゆる徒弟制度に近い修業者として師匠に弟子入りする感覚だったんです。
城 そうだったんですね。その当時は、ご苦労も多かったのではないかと思います。
松永 ええ。しかし、私の師匠はあまり古い考えをお持ちではなく、さほど厳しい環境でもありませんでした。それでも、師匠の家に住み込みでの生活でしたので、食事をする時間などは師匠と弟子たちとで区別されていましたね。
城 実際に現場に立ったのは、おいくつの頃だったんですか?
松永 17歳からですね。下積みを経て、国家試験を受けて資格を取得しました。しかし、一番大事なのは資格を取ることよりも、お客様に認めていただけるかどうか。それが一人前の理容師として重要だったんです。