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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 埼玉県出身。鉄工所を営む家に生まれて育つ。漠然と家業を継ぐことを考えていたが、一念発起して起業を決意。大学の工学部機械工学科を卒業後は、一部上場企業の製造工場へ無給での入社を希望。丁稚奉公のような状態で働きながら、ものづくりの様々な知識と技術を蓄える。1980年に満を持して独立。(株)エムテーエスを設立した。【ホームページ
 
 
 
金型や精密部品制作などを手がける株式会社エムテーエス。森田忠夫代表取締役は、大学時代からものづくり一筋で歩んできた。上場企業に無給で丁稚奉公して経験を積み、顧客のニーズより高い性能の治工具をつくり続けてきた森田社長は、まさに製造業のユーティリティープレイヤー。目まぐるしく変化する時代の中で、なぜ同社は顧客の望む以上のものづくりを続けられるのか――。「人生に無駄はない」と語る森田社長のチャレンジ精神と人物像に迫ってみた。
 
 
 

チャレンジ精神を忘れずものづくりを続ける

 
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インタビュアー 三浦淳寛(サッカー元日本代表)
三浦 エムテーエスさんは、メーカーが製造する量産製品の基となる、重要な金型や精密部品などを製造・供給していると聞いています。1980年の創業ということで、今年、2017年で37年もの歴史をお持ちなんですね。森田社長はもともと機械をいじるのがお好きだったのでしょうか。
 
森田 そうですね、好きでした。父親が鉄工所を経営していて、子どもの頃から「後を継ぐことになるんだろうな」と感じていましたから。でも、父と同じ仕事を続けるのもどうかと思い直して、自分の会社を設立することにしたんです。
 
三浦 一から起業するまでにはご苦労もあったと思います。ご経歴を教えていただけますか。
 
森田 私は大学の工学部機械工学科出身です。人とは違うことをするのが好きで、在学中から常識では考えられないチャレンジばかりしてきました。例えば、卒業制作でつくり上げた、テープレコーダーのヘッドを加工する機械もその1つですね。
 
三浦 えっ!? それは具体的にどんな機械なんでしょうか。ぜひお聞きしたいです。
 
森田 テープレコーダーのヘッドは、表面を極限まで磨き上げるため鏡面仕上げという作業を施します。ただ、鏡面仕上げは何時間もかかってしまうんです。そこで私は銅の砥石に人工ダイヤモンドを埋め込み、銅の水溶液の中で電気を通しながら加工する機械をつくりました。これなら時間のかかる鏡面仕上げを、たった1分で終わらせることができるんです。