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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

地域に開かれた福祉施設 アートで能力を活かす!
社会福祉法人共生社/あじさい学園 理事長 秋山律子

 
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インタビュアー 嶋大輔(タレント)
 茨城県古河市を拠点に福祉事業を展開する社会福祉法人共生社さん。まずは秋山理事長の歩みや創業の経緯を教えていただけますか。
 
秋山 大学時代に実習に入った静岡県の知的障がい者施設で、自分を受け入れてくれた入所者さんたちの姿に感動して、卒業後はそのまま就職したんです。その後、現在の夫と共に夫の故郷である1986年に古河市で弊社を立ち上げ、2021年に理事長を引き継ぎました。
 
 共生社さんは現在、驚くほどたくさんの施設を運営していらっしゃいますね。
 
秋山 古河市と結城郡八千代町で就労支援事業所や入所支援・グループホームなどの生活援助施設を運営しています。
 
 障がいと言っても、いろいろな種別があると思います。何か一つに特化していらっしゃるのでしょうか。
 
秋山 身体障がい・精神障がい・知的障がいのある方を中心に事業を行っています。また、古河市で事業をスタートして以来、地域の方々に事業所についてご理解いただく活動にも力を入れてきました。当時の知的障がい者福祉は社会一般に障がいへの理解が深まっていなくて、施設は人里離れた場所に建てられることがほとんでした。それは「障がい者を社会から守る」という意図があると同時に、街中に施設を建設することが困難な状況があったからだと考えています。
 
 なるほど・・・。しかし、そのままでは障がい者の皆さんとの共生が進みませんよね。
 
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秋山 そうですね。弊社は幸いに夫の父が残してくれた街中の土地があったので、地域に根ざす施設になるために通所施設からスタートさせました。また、利用者のご家族がいずれ高齢になられても、利用者の皆さんが安心して社会生活を送っていけるように入所支援の必要を当初から考えており、通所施設の2階に増築できるように初めから設計していました。入所支援、グループホーム、就労支援など、現在は200名以上の方が利用されています。
 
 それは素晴らしい。しかも、障がいがある方たちの能力を引き出すことにも熱心だとうかがっています。
 
秋山 ええ、弊社ではアート活動に力を入れていまして。例えば、利用者さんが描かれた絵を木版画の手刷りでカレンダーをつくる取り組みは、38年続けています。また、就労支援施設でつくるパンのデザインに利用者さんが描いたカメのモチーフを取り入れたり、ショップあじさいで焼き立てパンやアート製品を販売したり、地域のイベントなどで販売をしています。地域の方から「おいしかった」「素敵だね」と直接声を聞けるので、自分たちが手がけた製品が“選ばれる”“買ってもらえる”ことで、「人の役に立っている」という実感も得られます。これが、利用者さんにとって一番嬉しいことなんです。