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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

閉塞の時代を打破する鍵は
原点に立ち返って見つけだす

 
 
この本を出版して以来、多くのビジネスパーソンからメールや手紙を受けとるようになったという宮本亜門氏。特に、40代を中心としたいわゆる中間管理職が、「組織の中でどう生きるべきか」 といった悩みをそろって抱えていることに驚かされたという。
 
 

“奉仕型リーダー”が求められる背景

 
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 私は企業で働いた経験がなく、一般的なリーダーに求められるような、人を引っ張っていく、人を使う 「縦社会」 が嫌いだという前提で、お話をさせていただきます。今までの日本の社会というのは、高度成長期というレールが敷かれていて、その中で “こうあるべき” というリーダーシップ論がまかり通っていたような気がします。要するに、これまでの日本人は、周囲と同じであることを良しとし、成功者としてのリーダーの声を聴き、身をゆだねていれば大丈夫という感覚を持っていたといいますか・・・。
 しかし、現在では、それが立ち行かなくなってきた。部下の人たちは、リーダーが 「正しい」 と言っても、懐疑的になっているのではないかと思います。それに世の中には、決して一人として、同じ人間がいないように、リーダーが言ったことに対して、10人が10人違った受け止め方をするのだと考えたほうが良いということです。そのうえで、どのように立ち回っていけば良いのかを考えなくてはなりません。
 まず、従来の概念を捨てること。管理職という枠組みや立場から自分を解放し、自分がこの会社で何をしたかったのか、どのように働いていきたかったのか、その原点に戻る必要があります。自分としっかり向き合うことができない以上、何かの方法論に求めても答えは見つかりません。また、自分が枠組みから解放されないと、周囲の人たちが発する様々なサインを見逃してしまうことにもなるのです。そのサインはSOSだったり、この壁を越えれば飛躍的に成長できるということだったりするのです。 “リーダーとしてこうあるべきだ” と意気込みすぎて自分のビジョンを周囲に強制しても、一人で空回りをしてしまうどころか、周囲の方々が持っているせっかくのポテンシャルを台無しにしてしまう可能性があるわけです。
 私が書籍の中で 「奉仕型リーダー」 と表現したのは、まず自分は部下や周囲の方々の力を引き出すために存在するのだと考え、相手の側に立って、それぞれ一人ひとりの横に座って一緒に悩み、会話の中から、相手の潜在的な力を引き出していくという姿勢のことです。一方通行では駄目なのです。
 
 
 
部下一人ひとりのポテンシャルを引き出す 「奉仕型リーダー」 の概念は理解した。しかし、実際の場面において部下の心を掌握していくのは想像以上に難しい。特に、若手社員と向き合う術は、多くのビジネス書がその方法論を示しながら、なんとなく “しっくり来ない” と感じている管理職が多いのではないだろうか。そんな疑問を宮本亜門氏にぶつけてみる。
 
 

“違い”の中から新しいモノが生まれる

 
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 舞台づくりには、“公演初日” という、一つの共通目標があり、制作サイドはもちろん、出演者もその時点で 「最高の自分でありたい」 という願望やプライドを持っているので、ビジョンを共有しやすい環境です。しかし、中には単純にギャラ目的だったり、惰性で仕事に取り組んでいたりする方もいます。そのような人には、もう徹底的に寄り添って心を揺さぶって、重たい心の蓋を開けるのです。やりすぎは良くないですから、相手のペースに合わせ、相手も初心に戻すことが大切なのです。そしてその人にとっての喜びと現在の業務を結びつける。ベテランの方ほど、仕事の喜びを忘れてしまいがちですからね。プライドを傷つけないように誘導しなくてはなりません。
 また、「若手社員だから」 「生きてきた世代が違うから」 相手のことを理解できないという考え方も、捨てるべきです。年代や国籍など関係ありません。そういった固定観念を取っ払うことが実は最も重要なのです。感じ合う人は世代や国籍を関係なく感じ合えるし、感じ合えない人は、どんなに近くにいても遠い。
 そもそも、理解できないというのは主観の話ですから、それは自分の価値観でしか物事を見ていないからで、決めつけることで相手の良さを否定してしまうことにつながりかねません。私は、ジャニーズやAKBなど、若手の俳優さんとのお仕事の中で、常に刺激と新しい発見を得ています。もちろん、意見や感覚が食い違うこともしばしば。しかし 「違う」 ことは弊害ではなく、むしろ、枠にはめて考えていると世界は広がらず、同じような人の調和の中からは、新しいアイデアは生まれないのです。
 舞台制作を進めるうえでは、テーマを共有するプロセスにおいて、より人間の怒りや悲しみなど、根源的な感情について話し合うことがあります。時には、役者の個人的な経験や感情に置き換え、個別に語り合うこともあります。このような本質を語り合うことで、その人との関係はぐっと深まります。ビジネスにおいてはなかなか難しいかもしれませんが、時にはそういった機会を設けるのも良いかもしれません。しかし、お酒の席で、そのような会話はさけるべき。本質について語り合うということは、その場のノリではなく真摯に向きあわなければ相手を傷つけてしまう可能性があるからです。
 
 
 
 

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