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西陣金襴の新たな魅力

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金襴ベルト

京都の西陣織といえば、着物や帯に使われる最高級の生地。伝統的な工芸品で、何世紀にも渡って受け継がれてきた職人技が今もその価値を支えています。ことわざに「京の着倒れ、大阪の食い倒れ」とあるように、ファッションにこだわる京都人が育んだ文化のひとつともいえそうです。そんな西陣織の中で、ひときわ華やかな魅力を放つのが金襴生地。金箔をはり合わせた和紙や金箔を巻きつけた糸が織り込んであり、とてもきらびやか。雛人形の衣装をはじめ高僧の袈裟、花嫁衣裳などに多く見られます。一見すると、派手な生地。それを身近なアイテムに活用できないか、よりモダンに、よりお洒落に…実現したのが「M-HERO」です。金襴生地を生かした新たなファッションを生み出しました。

理想を求めて、ゼロからの誕生

それは1999年のある日。「M-HERO」の代表・廣瀬正樹氏が当時、運送会社で働いていた時のことです。集荷で訪れた金襴生地販売店の店先で偶然、通りがかった人が被っていたベースボールキャップを目にしたのがきっかけでした。
「金襴の帽子だったら、どんなにカッコいいだろう」
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金襴めがねケース

それからしばらく理想の帽子を求めて街のあちこちを探しました。ただ、どこにも売っていません。物の豊富な時代にも関わらず、どこにも見あたらない。
「それなら自分で作ろう」
早速ミシンを購入し、金襴を使った帽子作りを一からスタート。これが「M-HERO」の出発点となりました。それからは金襴ひと筋に取り組む日々。コツコツと様々なアイテムを作り続け、路上販売に着手。さらに京都の天神さん(北野天満宮)や弘法さん(東寺)、名古屋の大須観音など多くの人が集まる手作り市へ積極的に出店しました。そして2005年9月、ついに1号店が京都市の中心部、六角柳馬場にオープン。今ではその店頭に、ベルトや財布、カードケース、キーホルダー、ストラップ、カバンにサンダルなど様々なアイテムがずらりと並んでいます。それはどれもオリジナルのアイテム。一から作り上げた証です。

すべては顧客の笑顔のために

初めて訪れる方は、小物を買うことが多いとか。ただ、使い続けるうちに金襴アイテムの魅力に自然と引き込まれ、次第にほかのものにも興味が沸き…リピーターが大変多いようです。どれも丈夫で長持ちするように、革を裏地にして作られています。また、顧客の声にしっかりと耳を傾け、できる限り要望に応えるようにも努めています。その心掛けは、理想のものが見つからなかったという、自身の
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様々な金襴アイテムが並ぶ店内

金襴の帽子の経験から生まれたもの。具体的な相談がしやすいように、店頭に生地サンプルを揃えておいてセミオーダーを受け付ける仕組みも用意。古くなった着物をリメイクしたい顧客にも対応しています。さらに、革職人との連携によるフルオーダーのシステムも整えています。すべては顧客にとって本当にカッコいいと思えるもの、満足してもらえるものを作るため。その思い、金襴の放つまぶしさに、強く表れています。

M-HERO
京都市中京区六角通柳馬場西入ル北側槌屋町102-2
http://www.m-hero.jp
http://www.m-hero.com

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