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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

行列のできる鰻の名店 伝統の味と本気の仕事
株式会社土井活鰻 代表取締役 土井貴史

 
プロフィール 京都府出身。代々、鰻の卸売業を営む家に生まれ、自身も会社を継いだ。その後、鰻の値段が高騰し職人も高齢に近づいたため、2014年に廃業。東京などに出向き、次の事業を模索する中で、再び鰻を取り扱うことを決意する。家業のような卸売業ではなく飲食業に目を向け、2018年に京都市伏見区に鰻の専門店として京都炭焼鰻 土井活鰻をオープン。2021年には祇園にも出店した。【ホームページ
 
 
 
土用の丑の日に食卓にのぼるなど、古くから日本人に親しまれてきた鰻。しかし、鰻を扱ううえで「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」と言われるほど一流の職人になるのは難しい。だからこそ本物の味を求める人が後を絶たない。京都で2店舗を展開する京都炭焼鰻 土井活鰻は国内外から多くの人が訪れる人気店だ。経営者、そして熟練の職人でもある株式会社土井活鰻の代表取締役、土井貴史氏は心を込めた本気の姿勢で仕事に邁進している。
 
 
 

先祖代々、おいしい鰻で人々を笑顔に

 
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インタビュアー 水野裕子(タレント)
水野 京都炭焼鰻 土井活鰻を営む土井社長のご実家は、もともと鰻の卸売を手がけておられたそうですね。
 
土井 はい、100年以上の歴史を持つ鰻の卸売業者です。私は高校卒業後に家業に入り、祖父のもとで修業しました。そして事業を継いだものの、鰻の値段が高騰するなど時代の変化により、2014年に会社を畳んだのです。その後、何をしようかと考えていた際に、友人の「鰻を食べたい」というひと言で「うちの鰻を食べてもらいたい」と鰻への情熱が再燃し、あらためて開業しました。
 
水野 卸売業ではなく、飲食業に切り替えたのはなぜだったのでしょう?
 
土井 大勢の職人を抱える必要がないですし、鰻の味にも自信があったからです。気に入った物件を借りることもでき、2018年に、ここ伏見区に当店をオープンしました。おかげさまで連日行列ができ、テイクアウトも好評なんですよ。
 
水野 業態を変えても、代々受け継がれてきた技と思いを受け継ぎ、会社を見事に再建なさったのですね。素晴らしいです。
 
土井 ありがとうございます。「うまくないものは売るな」という祖父の教えと、一族が培ってきた鰻の味は絶対に守りたいと思っています。