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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

魚を活用した新しい農法
地域の活性化をめざす!

 

魚と微生物が生む天然肥料で野菜が育つ

 
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宮地 ところで、アクアポニックスはどんな仕組みなんですか?
 
中村 泳いでいる魚の排泄物を微生物が栄養豊富な天然の肥料に変換します。その有機肥料を植物が吸収して育ちます。植物が有機肥料を吸収することで水を浄化するため、水をリサイクルしながら魚と野菜を一緒に育てられる仕組みです。農業で利用する堆肥だと肥溜めから移動させるなどの作業が必要になるものの、アクアポニックスだと水槽内で完結するので手間がかかりません。
 
宮地 一石三鳥のよくできた仕組みですね。ぐるぐる循環して、まさにサステナブル!
 
中村 必要なのは蒸発する水の継ぎ足しくらいです。しかも大がかりな装置ではなく、どこにでも設置できるので汎用性が高いのです。
 
宮地 家庭菜園やベランダ菜園も人気とはいえ、水や土の手入れは大変ですし、高層マンションではできないこともありますよね。でもその点、アクアポニックスならほぼ手入れ不要でどこでも楽しめるのはいいですね! 育つ作物のお味も気になります。
 
アクアポニックスで栽培したイチゴ
アクアポニックスで栽培したイチゴ
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環境教育や食育にも期待できるアクアポニックス
中村 まだまだ試行途中ですが、例えばイチゴだと通常糖度10度くらいのところ、この装置で17度超えのものができました。クレソンも辛味がしっかりと味わえるものが育ちます。しかも、土で育てるよりも早く収穫ができます。
 
宮地 おいしい野菜や果物がスピーディに育つなんて夢のような装置じゃないですか! 自然のものばかりだから安全ですし、本当に大きな可能性を秘めていますね。
 
中村 はい、そうなんです。現在、遊休地の活用をはじめ、通年で安定した栽培に適した人工光モデル、自動化設備を取り入れて省スペース×高効率栽培を可能とした太陽光モデル、飲食店やオフィス、公共施設での利用を想定した魚の観賞と植物の栽培を楽しめる室内インテリアモデルなどをご用意しています。
 
宮地 オートメーションで大規模化できれば、本格的な農業も可能な気がします。ちなみに魚の種類は決まっているんですか?
 
中村 私は、地元のイメージアップのために栃木県が商標登録しているヤシオマスで試行させていただいておりますが、基本的に淡水魚であれば問題ありません。土によって育つ野菜の味が変わるように、魚によっても味が違ってくるのでおもしろいですよ。
 
宮地 私の父はグッピーが好きで、繁殖させるくらいこだわっているんですよ。「一緒に野菜もつくれるよ!」と教えてあげたいです(笑)。