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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

魚を活用した新しい農法
地域の活性化をめざす!

 

社会貢献を目指し、28年勤めた会社を退社

 
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インテリアにもなるアクアポニックス
宮地 あらためて、まずは中村社長の歩みからうかがいましょう。
 
中村 もともと橋梁などを手がける建設会社に28年勤めました。技術研究所の事務から工場や工事現場、新規事業の立ち上げに伴う営業など、社内でも珍しい職歴だと思います。小田原、大阪、京都での単身赴任を2年半ほど経験しました(笑)。
 
宮地 インフラに関わる建設業界にいらして、どのようにアクアポニックスを知ったんですか?
 
中村 勤めていたのが先進的な会社で、「建設会社としても農業やSDGsに取り組もう」と新プロジェクトが立ち上がりました。そこでアクアポニックスと出合い、このサステナブルな取り組みに感動し、惚れ込んでしまいました(笑)。
 
宮地 でも独立となると、ハードルが高いですよね。
 
中村 大きな企業としては、特許や技術開発が優先であり、自分に何ができるだろうか・・・と考える中で、私としてはこの仕組みを地元栃木や子どもたちに伝えたいという衝動に駆られてしまいました(笑)。それで一念発起して独立し、今に至ります。
 
宮地 約30年のキャリアを捨て新しい事業に挑戦するって、ものすごい決断ですね。
 
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中村社長はベジブーケⓇのクリエイターとしても活躍
中村 周囲の人たちからは「なぜなの?」「もったいない」と言われました。素敵な会社でしたし、十分過ぎるお給料もいただいていましたし、何よりも会社が大好きでした(笑)。ただ、企業でのキャリアよりも、このサステナブルな取り組みに人生を賭けたくなり、会社とじっくり相談をして独立に至りました。栃木県は海がないので、アクアポニックスを広げることで、子どもたちに魚や水産業にも興味を抱いてほしい、そして、栃木の野菜や果物の生産にも貢献したいと考えました。
 
宮地 心から尊敬します。地元愛も強く感じました! 中村社長は、水産業や農業、福祉や教育など幅広い視野での貢献を考えられているんですね。
 
中村 はい。アクアポニックスを扱うなら魚のことも勉強すべきと考え、水産試験場や養殖漁業組合の方に話をうかがった際、農業と同じく水産業にも高齢化問題があると知ったことも大きいです。アクアポニックスが広まれば子どもたちが楽しみながら水産業や農業に関心を持てるし、後継者不足といった課題も解決したいと思いました。