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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

弦楽器の音質調整専門店 弾き手ファーストを追求
株式会社絵譜工房 代表取締役 宝木寛

 
プロフィール 大阪府出身。弦楽器職人をしていた父親の導きで3歳からヴァイオリンを練習し、母からはピアノを習う。家業に弟子入り後、イタリアで弦楽器制作を修業。29歳のときに父親が急逝したため、(株)絵譜工房の2代目となる。弦楽器の音質調整を専門に行う一方、ヴァイオリン奏者としてもプロと共にヨーロッパ公演を実現するなど、旺盛な活躍を見せている。【ホームページ
 
 
 
ヴァイオリンやヴィオラ、チェロの音質調整を専門に行う株式会社絵譜工房。宝木寛代表は弾き手ファーストの調整を掲げ、奏者が好む音、今ほしい音をとことん追い求める姿勢を貫いている。音楽一家に生まれ、自らもヴァイオリンの腕を磨くことで従来にない高精度の調整を実現してきた宝木氏に、これまでの歩み、調整に対する独自のアプローチ、奏者とのコミュニケーションの取り方などについて語ってもらった。
 
 
 

両親の導きで音楽に触れ、自ら楽しさを知る

 
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インタビュアー 濱中治(野球解説者)
濱中 大阪の梅田駅から歩いて10分のところにある、絵譜工房さんにお邪魔しています。こちらでは弦楽器の調整をなさっているそうですね。
 
宝木 はい。ヴァイオリンやヴィオラ、チェロを専門に音質の調整を行っています。弓の毛替え、楽器の販売も行っているものの、お店を紹介するときは“調整専門”とお伝えしています。
 
濱中 宝木さんと弦楽器との出会い、調整をお仕事にするに至った経緯を教えてもらえますか?
 
宝木 一言で言えば、環境ですね。父が弦楽器のメンテナンスをする職人だったので。父はフルートは吹いていましたが、弦楽器は弾かなかったんです。私は3歳からヴァイオリンの練習をさせられるようになり、音楽の道に導かれました。母からもピアノを毎日習っており、とても厳しかったですね。最初は練習が嫌でしかたがありませんでした。
 
濱中 そんな宝木さんが現在、お父様と同じ職人として活躍されているわけですね。環境に導かれた後、これが自分の道だと思われたきっかけが気になります。
 
宝木 10代半ばで一度ヴァイオリンから離れて、東京の大学に進んだときにふと再開する気になって。そこで、オーケストラのサークルに入ったら演奏することにハマってしまったんです。それがきっかけとなって、父の仕事に興味が湧いてきたんです。
 
濱中 音楽に目覚め、自分の意志で戻ってこられて良かったですね。さて、それではいよいよ、音質調整のお話をじっくりうかがいましょうか。