インタビュアー 八木裕(野球解説者)
八木 大阪府豊中市を中心に北摂エリアで活躍する完全予約制のリハビリ&コンディショニングラボ KITA(キタ)さん。来田代表は理学療法士の資格をお持ちで、腰痛や肩こりなどの不調がある方、体にまだ課題があるものの保険下でのリハビリに制限がある方など利用者さんの自宅を訪ねて施術をしてくれるそうですね。コロナ禍もありますし、何らかの事情で外出が難しい方、特にご高齢の方にはありがたいサービスだと思います。まずは理学療法士になった経緯を教えてください。
来田 私の父は漁師をしており、長年肩を酷使した結果、石灰がたまって腕を上げられなくなってしまったんです。それで手術をしてリハビリ期間に入ったときに、機能回復に向けて理学療法士の方が支援をしてくれたおかげで、自宅でも自主トレを続け、父は復帰できました。父の不調は家族にとってもつらい出来事でしたから、多くの人を助ける仕事に憧れを抱き、私も理学療法士を目指すことにしたんです。
八木 お父さんだけでなく自分も救ってくれた仕事に憧れて、資格を取得されたわけですね。
来田 ええ、資格取得後は総合病院に勤務し、入院患者への対応と訪問リハビリ診療も担当し地域に貢献していました。そんなある日、日本語も英語も話せないブラジル人の男性が太ももを骨折し搬送されてきたんです。手術後は私がリハビリを担当し、身ぶり手ぶりで懸命に意図を伝えて回復に努めました。彼いわく、母国の家族を養うため必死で働いていたけれど経済的に帰国は難しく、帰国できてもリハビリ施設などないということだったんです。それで海外、特に途上国でのリハビリに微力ながら貢献したくなり、JICA 青年海外協力隊としてフィジー共和国に飛びました。小国のフィジーでは当時、国内の理学療法士は36人だけ。病院には理学療法士がいても、地域には0人という状態でした。それで私は、病院と地域が連携して、退院された方にリハビリの支援をする仕組みづくりに尽力したんです。