
インタビュアー 狩野恵輔(野球解説者)
谷 私は27歳のときに金属加工の会社に入社し、それから60歳まで同じ会社に勤めてきました。独立して弊社を立ち上げたのは2002年で、現在、80歳になったところです。現在は調理器具の加工や修理をはじめ、モニュメントの製作も手がけていまして、例えば、JR東西線のホームに設置されている各駅のロゴは弊社の手づくりなんです。和歌山県の紀三井寺には寺院の屋根に取り付ける巨大なギボシを納めたこともありますよ。
狩野 それはすごい。まさに匠の技術で職人の道を歩み続けてきたわけだ! 今のお話にあった、鍋やフライパンなど調理器具の加工や修理が事業の軸だそうですね。
谷 はい、弊社の得意分野はテフロン加工したフライパンの補修、銅・アルミ・ステンレスなどの特注の調理器具の製造や修理です。お客様は飲食店やホテルのレストランが多いですね。
狩野 フライパンのテフロンは使っているうちに剥げてしまいますし、愛用の調理器具が壊れると飲食店の営業がままならなくなってしまいますから、熟練の職人さんが修理してくれるのは心強いですね。ところで、かがしやさんでは、寸胴鍋の省エネカバーも手がけているとお聞きしました。これはどのような発想で生まれどういうふうに使うものなのでしょう。

狩野 たったそれだけで、寸胴鍋から周囲に伝わる熱を減らせるわけですか。
谷 そうなんですよ。新聞記事のような火災は鍋の熱が壁に伝わる伝導過熱という現象が原因です。弊社のカバーは、この伝導過熱を減少させ火事のリスクを下げることができるんです。メリットはほかにもたくさんあり、寸胴鍋に省エネカバーを取り付けると、弊社の実験では水を沸騰させるまでの時間が27分も短縮できました。火を止めてから2時間後の温度も通常の鍋が78℃なのに対し、85℃を保つことができたんです。