
インタビュアー 石黒彩 (タレント)
ケンス そうですね。私が来日して最初に日本でインド料理店を開店した当時、1990年代末から2000年初頭の頃は、埼玉県内ではまだ2店舗ほどしかなかったものの、最近では街中でよく見るようになりましたね。ただ、ネパール料理のお店と兼ねている店舗も数多く、意外と本格的なインド料理のお店は少ないんですよ。
石黒 確かに、ネパールの方が経営している飲食店をよく見かける印象ですね。
ケンス もちろん、ネパール料理もおいしいですし、インドでも各地方によって特色のある料理がたくさんあります。ただ、ナンやチャパティ、バターなどの乳製品を用いたカレー、そしてラッシーといったメニューは、もともと私の出身地であるインド北部の料理を代表するものなんです。
石黒 へえ~! いわゆるインド料理店でおなじみのメニューは、本来はインド北部地方の料理だったんですね。
ケンス ええ。北部ではナンをはじめとする小麦を使ったパン類を主食とし、南部では主に米類を主食とするといった違いがあるんです。ですから、北部のメニューに関しては、食材もレシピも特にこだわりをもってつくっています。特にバターチキンカレーは、トマトケチャップを使うなど簡易的なレシピの店舗も多い中、当店ではトマトを10kgほど使い、骨付きチキンなどもたくさん入れて、8時間ほどかけて煮込んでいます。
石黒 えっ、そんなに手間暇をかけてつくっているんですか!

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