
インタビュアー 八木裕(野球解説者)
根岸 私の姉である赤羽惠子が1973年に開設した、京都モンテッソーリ教師養成コースが学園のスタートでした。姉は旧西ドイツでモンテッソーリ・ディプロマを取得した日本人初のモンテッソーリ教師で、この教育の素晴らしさに感銘を受け、日本にも広めたいと、日本で最初のモンテッソーリ教師養成コースである、上智モンテッソーリ教員養成コースの開設に関わり、その後、京都コースの開設、さらにモンテッソーリ教育を実践する場として、深草こどもの家を設立したのです。
八木 なるほど、教師養成コースの開設が先だったと。根岸代表もお姉さんとモンテッソーリ教育を勉強されたのですか。
根岸 いえ、私は東京の公立幼稚園に勤めるごく一般的な幼稚園教諭でした。姉の勧めでモンテッソーリ教育に興味を持つようになり、働きながら当時開設されたばかりの先ほど申し上げたコースで学んだんです。その後、子育てから手が離れたタイミングで、こちらの仕事を引き受けた次第です。
八木 働きながら勉強もしたいと思うなんて、よほど魅力的な教育なんでしょうね。実は私の次男もモンテッソーリ教育の流れを汲んだ幼稚園に通っていたので、教育内容は知っていました。でも理解が十分ではないので、詳しくお聞かせください。
根岸 モンテッソーリ教育が重視するのは、子どもが本来持っている力を引き出せる環境と自由を与えることです。人間は誰一人として同じではないですよね。ですから、子ども一人ひとりの個性は尊重されるべきだという考えです。大人の価値観にとらわれず、子どもの自由な発想を認める。そして得意を見つけ出せるよう少しだけお手伝いをする。そのようにモンテッソーリ教師は、子どもが自らの意志で行動し、のびのびと成長できる環境を大切にしています。

根岸 きっとモンテッソーリ教育の成果ですね(笑)。私たち教師が毎日の生活の中で子どもに伝えるのは「人の邪魔をしない」ということです。良い環境が備わっていると、社会のルールは自ずと身につくものですからね。年長児は自分より小さな子が困っていると手伝ってあげようと思いますし、助けてもらった年少児は大きな子に憧れる。コミュニティの中で社会性を身につけていくんです。また、当園は自然をとても大切にしているので、虫や植物など命の重みも体感できますよ。