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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

災害から命を守りたい!
林業の魅力を若手に承継

 

他社がやらないひと手間をかける

 
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時東 林業は、夏の暑さや冬の寒さに耐えなければなりません。雨の日の作業も大変だと思います。まさに体力勝負の厳しいお仕事ですよね。
 
杉本 確かにおっしゃるとおりです。でも、山林は人が手を入れることで良好な環境を保全できます。中途半端な整備をしたり、自然のまま放置したりするのはかえって危険なんですよ。例えば2019年の台風では、弊社が管理している山には影響がなかったのですが、ろくに手を入れていなかった山や中途半端に間伐材を整理しなかった山は崩れて、たちまち川を埋め道路を壊してしまいました。このときに私は「誰かの命を守る仕事。それが林業だ」と確信したんです。
 
時東 なるほど。私みたいな素人は、山や森は手を加えないほうがいいと思いがちですが、実は逆で、人間が管理するから災害に強い自然ができあがるわけですね。
 
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「誰かの命を守る仕事。それが林業だ」とポリシーを持ち作業に励む
杉本 そうなんです。我々の仕事は多種多様です。その中でも、公共工事の入札制度が変わったせいで、仕事を受注しても他社に作業を投げるだけの会社が増えました。そのため丁寧に施業されてない森林があったり、土砂崩れなどの災害の要因になりかねない状態だったりする所もあります。本当に災害が起こってはいけない。起こしてはいけないと思います。
 
時東 そのような状況の中で、有限会社杉本林業さんが常に心がけていることは?
 
杉本 私たちは現場で、他社がやらないひと手間をかけています。例えば、切り倒した木を資材にせずその場に残して整理をしなくて良いとされる場合でも、必ず整理を行います。弊社は地面の形状や土の状態、水の流れを見極めて、周囲に杭を打っておくなど徹底した安全確保にこだわっているんですよ。自然の環境を壊さずに安全性を高め、誰もが安心して暮らしてもらえるようにすること。これが私たちのポリシーです。
 
時東 素晴らしいですね。そういった杉本代表の自然との真剣な向き合い方が、もっと多くの方に伝わってほしいなぁ。
 
杉本 ありがたいことに、最近はこうしてメディアに取り上げていただける機会も増えてきました。ただ、やはり林業の実態はまだまだ伝わっていないと感じますね。新入社員が入っても、いざ現場に出ると、耐えられずすぐに辞めてしまう子もいるんですよ。山の仕事は非常に危険で過酷な仕事です。体力も必要ですが志も必要と感じます。林業の魅力をもっともっと発信していけたらと思っています。
 
 
 
 

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