
インタビュアー 八木裕(野球解説者)
万年 Pep(ペップ)とは、英語で元気の意味で、ペップトークとはその名の通り、相手を元気づけたり励ましたりすることです。もともとは米国のスポーツ界でコーチがアスリートの能力を最大限発揮できるよう、試合前に激励するための手法として発展しました。現在では、企業の研修などで社員のモチベーションアップのためにも取り入れられています。私たちは、そのような人材育成や教育といった場で活用できるペップトークを、一般により広く普及するために活動を行っています。
八木 元気づけるために、ただ相手を応援するだけの言葉とは違うんでしょうか?
万年 はい。単に相手に「頑張れ」と言っても、人によってはプレッシャーに感じてしまう場合もありますよね。それよりも、その方がどんな言葉を求めているのかを汲み取り、どうしてほしいかを知って声をかけることが重要です。例えば、アメリカンフットボールのような激しいスポーツでは、選手の闘争心を掻き立てるような言葉で鼓舞しますね。一方で、フィギュアスケートのような繊細な競技では、ミスしても落ち込まないよう、極力プレッシャーを与えないような言葉で励ますといったケースがあります。
八木 確かに競技によっては、選手の精神状態が異なりますからね。

八木 私も以前、高校球児たちへの激励として「みんなを喜ばせてくれ」と言ったことがありました。身近でずっと応援してくれていた両親や家族、仲間のために力を発揮してほしいと思い、無意識に言った言葉だったんです。
万年 とても素敵なお言葉です! まさにペップトークそのものですね! 「みんなを喜ばせる」という一言で、自分は何をしたらいいのかクリアになります。昔から“言霊”と呼ばれるように、八木さんのお声がけは球児たちの魂に響いたでしょうね。