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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

心和ませる庭づくり
優しい緑で癒しを与える

 

人々に癒しを与える仕事を

 
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小野 目に入ってきた街路樹の緑にとても癒された私は、「自分も誰かの心を動かす景観美を手がけてみたい」と思い、造園の道に進むことを決めました。幼い頃から自然豊かな福島で育ってきたので、昔から緑に馴染みがあったことも影響していると思いますね。
 
宮地 50歳を前に未知の世界へ飛び込むのは、非常に勇気のいることだったと思います。修業も大変だったのではないですか?
 
小野 そうですね。ただ、どこかの会社に正式に籍を置いて働くと、例えば植樹するだけ、剪定するだけと決まった業務ばかり繰り返す日々になってしまうのではと考え、気になった造園業者さんに次々とアプローチする方法を取りました。年齢を考えても企業への転職は厳しかったでしょうし、自分でやるには幅広い施工をできるようにならなければなりませんでしたからね。そうして3年ほど、造園の知識と技術を学びました。1社に属さずいろんな業者さんに指導していただいたからこそ、多様な施工をこなせるようになったと思います。
 
宮地 次々といろんな会社にアプローチとは、素晴らしい挑戦心です。小野社長は現場で一から知識や技術を習得されてきた職人さんなのですね。
 
小野 最初の頃は失敗も多く、何度も挫折しそうになりました。というのも、私自身が良いと思っても、お客様がその庭を気に入るとは限らず、そういった点でたくさんお叱りを受けたんです。でもそのおかげで、私自身の理想を詰め込んだ設計をご提案するのは、単なる職人のエゴだと気付けました。それからは、とにかくお客様のニーズや思いを丁寧にうかがい、お客様と庭を“共につくる”という意識を何よりも大事にしていますよ。
 
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宮地 小野社長がそういう姿勢でいてくださると、お客さんは心強いと思いますよ。自宅の庭は大切な家の敷地の一部ですから、やはり自分好みにアレンジしたいという方が多いでしょうからね。そういえば私の実家の庭には、巨大な木が生い茂っていたんです。それが祖父の部屋の窓から見える景観を邪魔してしまっていたので、造園業者さんに依頼して切ってもらったんですよ。でも切り口があまりにも情緒のない形状で。祖父が非常に残念がっていました。
 
小野 お祖父様はさぞ悲しい思いをされたでしょう。その業者さんは木を生かすために良かれと思ってやったのかもしれませんが、やはり毎日そのお庭を見る方が満足できるように仕上げないと。弊社もプロとして単に伐採するだけでなく「この木はそのまま生かすほうがいいですよ」など、提案はします。ただ、やはりお客様のご要望を叶えるのが私たちの役目ですからね。むしろ、設計やデザインなどを「任せます」と言われると悩みますよ(笑)。ただ、そうおっしゃるお客様とも密にコミュニケーションを取り、ニーズを引き出すことを心がけています。