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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

一挺一挺の三味線から 世界に幸せを届けてゆく
合同会社もりもと/わのこん 店主 守本早智子

 
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インタビュアー 鶴久政治(ミュージシャン)
鶴久 合同会社もりもとさんでは、三味線の皮張や修理などを手がけていらっしゃるそうですね。守本さんも昔から三味線に触れられていたのでしょうか?
 
守本 ええ。もともと私の父が三味線弾きだったんです。自分の弾く三味線の皮を張ってみたいという思いで皮張りを習いに行き、1970年代からは皮張や修理をメインの事業に仕事を始めたそうです。私にとっても三味線は身近だったものの、私自身はずっと日本舞踊に携わっていまして。師範としての仕事が天職だと思っていましたから、当初は父の後を継ぐ気なんてなかったんです(笑)。
 
鶴久 その道を変えられたきっかけが気になりますね。
 
守本 遊び半分で皮張をさせてもらったところ、父から「センスがあるから、やってみろ」と言われまして。実際に張り始めたらおもしろかったんですよね。日本舞踊をやっていますから、もともと三味線の音を聴くことに慣れ親しんでいたのも大きかったと思います。年齢とともに父が働くのが難しくなってきたこともあり、本格的に事業を手伝うようになりました。
 
鶴久 日本舞踊も三味線の音を聴いて踊るものですから、つながっていますよね。
 
守本 私の弟、そして私の娘も三味線弾きです。今では私が弟の三味線の皮も張っています。家族みんなが三味線を囲んで暮らせているのが幸せなことだなと思っているんです。
 
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鶴久 それは素晴らしい。きっと守本さんは、もともと耳が良かったのだと予想します。でも、それ以上に、お父様は守本さんの才能を見抜いていらっしゃったんでしょうね。
 
守本 ありがとうございます。三味線は、皮の張り方一つで音が全然違うんですよ。皮はその日の天気や湿度によっても状態が変わりますから、日々皮と対話をしながら仕事に取り組んでいます。
 
鶴久 ギターも同じですよ! やはり楽器って似通ったところがあるのですね。2代目として経営を引き継ぎ、企業として存続させていくためにご苦労されたことなどはありますか?