新進気鋭の画家が描く
抽象画が誘う心の世界
抽象画を日常に

川口 「Scent」は「香り」という意味で、今は亡き愛犬ケリーに対する思いをヒントにつけた名前です。2021年現在、亡くなって6年が経つにも関わらず、日常の中にふとケリーの存在や共に過ごした思い出などの「残り香」を感じる瞬間があるんですよ。まるでケリーが今も寄り添っていてくれるような感覚が、とても心地良いんですね。その感覚と同じように、作品を購入してくださったお客様にとって、私の作品がいつまでも残る香りのように、日常に寄り添えるものであってほしい。そんな願いが込められています。
八木 素敵なネーミングですね。絵は日常に癒やしやパワーを与えてくれる存在だと思います。川口代表の想いが込められた作品にはどういったものがあるのでしょうか。現在の活動について、具体的にお聞かせください。
川口 「Galva」という名義で、抽象画を軸に、人物やペットの肖像画や、さまざまなイラストを提供しているほか、CDジャケット・DMなどのデザインのご依頼を承っています。最初から自分のカラーを強調するというよりは、お客様のご要望に沿ったご提案・制作を心がけていまして。リピーターで私のテイストのファンになってくれたお客様には、「Galva」の世界観を楽しんでいただきたいと思っています。ECサイトではオリジナルデザイングッズの販売も行っていますよ。
八木 幅広く対応しているんですね。その中でメインとしているのが、抽象画ということなんでしょうか?
川口 はい。大学で抽象表現を専門に学んできました。そのため、抽象表現の良さをもっと多くの人に知ってほしいという思いが強いですね。Scentでは、「抽象表現をもっと身近に」というテーマに沿って、活動を広げていきたいと考えています。抽象画は日本では敬遠されがちです。Instagramで抽象画をアップしても、反応してくれるのはほとんどが海外の方なんですよ。

川口 同感です。実際、反応として多いのが「何が描いてあるのかわからない」「これは何を描いたの?」という声です。抽象表現や造形学において、構図や作者の意図など正解に近いものが存在することは事実です。しかし、抽象画は正解などについて深く考えることなく、「この色きれいだな」「この形が○○に見える」みたいに、もっとライトに楽しんでもいいものだと、声を大にして伝えたいですね。