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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

地図とIT技術で多様な
社会問題の解決を提案

 

長きにわたり地図製作を行ってきた老舗

 
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鈴木 お聞きしたところでは、五本木社長は4代目の代表だとか。御社は長い歴史をお持ちなんですね。
 
五本木 はい。弊社は1948年創業、翌1949年に会社を設立しましたので、今年、2021年で70年以上の歴史があります。創業当時は終戦間もない頃で、日本陸軍が所有していた地形図の販売権を得たことで事業が開始されました。地形図とは、測量で得た地形の情報をもとに、精細に書き表した比較的大きな縮尺の地図のことで、本来は重要な軍事機密とされていたんですよ。
 
鈴木 江戸時代も幕府によって日本地図が厳重に管理されていたと聞いたことがありますよ。地理学者で測量家だった伊能忠敬がつくった地図を、シーボルトが国外に持ち出そうとして強制送還された、シーボルト事件が有名ですよね。
 
五本木 そうですね。地形の情報を知っていれば戦争で有利になりますから、地図は軍事的に重要なものでした。そのような地形図は、戦後の復興事業の中で、さまざまな計画を立てるために活用されていたんです。
 
鈴木 確かに、被害を受けた街を復興させるための区画整備などで、地図の需要は大きかったでしょうね。
 
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五本木 そうなんです。ただ、地形図は大きな縮尺で日本全国をカバーしているものの、東京の23区や市町村など、それぞれの行政単位で区切られているわけではなく、経緯度でタイル状に区切った単位でつくられています。そのため、例えば一つの行政区だけをピックアップしたい場合、そのタイルをいくつも張り合わせる必要があり、使い勝手が良くなかったんですよ。そこで、行政の方から自分たちが必要な情報だけを簡単に得ることができないかと相談を受け、弊社ではオーダーメイドの地図製作も開始しました。それ以来、流通販売と地図調製の事業を二本柱として現在に至っています。
 
鈴木 70年以上にもわたって地図に関わってきた、まさに老舗というわけですね。御社の事業にますます興味が湧いてきましたよ。