「賃貸住宅の情報をお客様自身がネットで収集できる今、不動産業界に求められる役割は変化している」と話す田坂翼氏。同氏がCEOを務める株式会社Jubilation(ジュビレーション)では、2020年1月から「まるなげ賃貸」サービスを開始した。仲介手数料が完全無料かつ、Web上ですべての契約を完了できるという、業界の価値観を覆すサービスだ。「不動産業界の本質」に着目して生まれたというまるなげ賃貸。田坂社長の話からは、このサービスの根底に業界への熱い思いがあることが伝わってくる。
時代に合わせた新サービス「まるなげ賃貸」

インタビュアー 内山高志(元ボクシング世界王者)
田坂 社名の“Jubilation”には「歓喜」や「喝采」などの意味があり、たくさんの方に「大喜び」を無料で提供できる会社でありたいと思っております。そのためにまずは私が長年携わっている大好きな賃貸不動産屋業界からと思い、日々業務に邁進しています!
内山 さっそく熱意が伝わってきます! そんな田坂さんのご経歴も気になります。
田坂 25歳で業界入りし、「30歳までに独立しよう」と覚悟を決めて働き、実際に30歳で起業しました。業界に入ってから12年が経ち、時代がどんどん変わっていく中で、賃貸不動産屋のあり方や、存在価値を考えるようになったんです。そして、「このままではいけない、今の時代とお客様のニーズに合わせたサービスが必要だ」と思い、“まるなげ賃貸”のサービスを開始しました。
内山 業界も時代に合わせて変化すべきだと考えられたわけですね。
田坂 はい。インターネットが普及する前は、物件の情報などは街の不動産屋しか持っていませんでしたよね。お部屋探しをするときは必ず近くの不動産屋に行かないといけなかったので、存在価値が高かったと思います。しかし今の時代、一般の方々も検索サイトやアプリ、グーグルマップなどを利用してお部屋の間取りや写真を見ることができ、物件周辺の環境も確認することが可能なので、自分で良いお部屋を見つけられます。そうすると、不動産屋は「内見させてもらうだけ」「契約してくれるだけ」という状態になってしまうんです。
内山 確かに、多くの方が事前に物件を調べてから不動産屋さんに行きますものね。
田坂 一方で、不動産屋の接客方法やシステムはあまり変化していないように感じます。その結果、不動産屋に支払う“仲介手数料”に不信感を抱くお客様が増えてきているんですよ。おかしいと思いませんか? 家賃5万円のお部屋と20万円のお部屋、どちらも行う業務はまったく同じなのに、仲介手数料が違うんです。不動産屋の「仲介手数料」ほど曖昧なものはないと思います。