人の想いに寄り添う
生前整理と遺品整理
選手として、人として、海外で武者修行

江川 私は幼稚園の頃からプロを目指していて、高校卒業後はブラジルにトライアウトを受けに行きました。現地では、初日から地元の選手たちのハングリーさに圧倒されて、今までの自分がいかに恵まれた環境にいたかを痛感しましたね。その後はヨーロッパのモンテネグロという国に渡り、1部リーグのチームと契約を交わしました。1年間プレーして、モンテネグロカップ優勝も達成したんです。その後、22歳で帰国するまでの4年間で、生活した国も合わせれば、ドイツ、スウェーデン、フィンランドと渡り歩きました。
名高 10代の若さで南米、そして欧州に渡り、各地で生活なさるとはすごい行動力だ! でも、どうして22歳という、選手としてはまさにこれから活躍が望めるであろう年齢で帰国されたのですか?
江川 18歳で日本を離れる時に、同世代が大学を卒業する22歳までに、自分が世界のトップレベルでプレーできていなければ帰国すると決めていたんです。だから帰国する際も未練はありませんでした。
名高 もともと心に決めておられたわけですか! なんとも潔い決断ですね。でも、海外で懸命に頑張ったという経験は、人として大きく成長するための糧になったのではないかと思いますよ。その後、どのような経緯で遺品整理の業界に入られたのでしょう?

名高 人助けをしたいという思いからスタートなさったと。実際に現場を体験されていかがでしたか?
江川 「現場にはこれほど故人様の想いが残っているんだ」と驚きました。例えば、洗濯物が干されたままであるなど、確かにそこで人が生活していたんだという証がそのまま残っていたんです。それで私は「遺された想いを大切にし、気を引き締めて仕事をしないといけないな」と感じました。と、同時に、整理業務の効率を重視しがちな業界の在り方へ疑問も抱いたんです。整理業務を手早く進めるためとは言え、中にはものを投げて渡すといった業者もおり、「これはさすがに違うな」と思いました。そこで、私は自分が理想とする遺品整理業を実践するために独立したんです。