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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

社会とアート結ぶ発信源
包装デザインに芸術祭も

 

地域とアートを結びつける芸術祭に参画

 
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大地の芸術祭にて都市と農村の交換をテーマにした、まつだい「農舞台」
宮地 桑原さんは、幼い頃から美術に興味を持たれていたらしいですね。
 
桑原 はい。私は絵を描いたり、ものをつくったりすることで自己表現をする人間でした。ですから、自分はアーティストになると思っていたんです。しかし、いろいろ学んでいくうちに、社会とアートをもっと密接に近付けたいという思いが生まれてきましてね。
 
宮地 活動の場が広がるのに伴って、芸術に対する視野も広くなったんですね。その後、どのようなご活動をされたのですか?
 
桑原 2000年に新潟県の越後妻有地域で開催された「大地の芸術祭」という国際芸術祭を見に行き、「これだ!」と思いました。地域社会の中で現代美術が展開している風景を見て、社会とアートの新しい関係性を感じたのです。その後、サポーターとして携わり、住民票を移して現地で2013年まで仕事として様々なプロジェクトを遂行しましたよ。里山を舞台に空き家や廃校などを活用し、新しいミュージアムも建設するなどの現代美術を通した産業や観光、雇用の創出を念頭にした取り組みをしてきました。
 
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宮地 学生の頃から携わっているんですね。苦労も多かったことでしょう。
 
桑原 大変なことも多かったのですが、おもしろいと思ったことは、とにかくやってみることにしているんです。地域の方々にいきなり「芸術祭をやりましょう」と言っても聞き入れてもらえないので、まずは田植えや稲刈りをお手伝いし、その土地に根ざした生業を体感することから始めました。アートは人を呼び寄せ、参加につながる機能も有しています。国境も人種も関係ない、究極のボーダレスな力があるものです。なので、多様な価値観を受け入れた協働の中でたくさんの貴重な経験ができました。当時の経験は、今でも大きな財産となっています。
 
宮地 私も田舎育ちなのでわかりますが、どうしても閉鎖的になってしまい、新しい文化を簡単に受け入れられない部分が地方にはあるんですよね。桑原さんのように根気強く接してこられたからこそ、現在、各地の芸術祭は地域おこしの手段としても広まっているんだと思います。