プロフィール 神奈川県出身。母と兄が焼肉店を営む家に育ち、高校を卒業後、修業を経て母の店を引き継ぐ。経営を任されてからは横浜市内に複数の店舗を展開。売上目標を設定しない独自の経営方針と、最高の接客とサービスに徹底してこだわる経営哲学で多くのファンを獲得した。5店舗目となる「横浜関内 匠家本店」では焼肉懐石という新たなスタイルを提唱し、連日大盛況を続けている。目下、4歳の息子の子育てにも奮闘中。
「数字のための商売をするな! お客様に喜んでいただくことだけを考えろ!」――昭和58年創業の焼肉店グループ、(株)ニュールック。その各店舗では今日も、金本重徳社長の哲学が実践されている。飲食業の本質に根ざしたその経営姿勢は飲食業を志す人間の「人を喜ばせるのが好きだ!」というホスピタリティ精神をかきたて、最上のサービスで客の胸を思わず熱くさせる。氏の哲学を支えるものは? そこに至るまでの経験とは? ご本人の言葉で語っていただいた。
懐石スタイルで焼肉を味わう

インタビュアー 川村ひかる(タレント)
川村 額入りの絵が壁にかかって、世の焼肉屋さんのイメージをいい意味で裏切るオシャレな店内ですね。これは金本社長のご趣味ですか?
金本 そうです。これまでの4店舗は全部居ぬきで開いてきましたが、この「匠家」は新築のビルに入れたので自分の理想を詰め込みました。20歳そこそこで修業を始めてから15年以上温めてきたアイデアを全部ぶつけて、2007年の10月にオープンしました。
川村 オープンにあたってはどんな点にこだわりましたか。
金本 まず料理は、コースにこだわりました。通常の焼肉屋のコースはキムチもナムルも肉もサラダも、大皿がどんと来て、後は好きにやってくださいというスタイルですよね。でも、当店はどの料理も1人分ずつ皿に盛った懐石料理のスタイルです。お肉も3名様なら三つに切り分けた状態でお持ちします。一連の食事の流れをしっかり作ってお客様のペースを見てお出ししますから、接待に使っていただけることも多いです。

「匠家」では最上級の和牛肉が人数ぶんずつ切り分けてサーブされ、
懐石スタイルでゆったりと食事が楽しめる。
川村 本格的なワインセラーがあってワインの品揃えも充実していますし、そのスタイルだとまるでディナーですね。
金本 そう、まさにディナーです。他店ならいつの間にか「焼く係」になってしまうお客様も、当店なら美味しい焼肉をゆっくり味わって食べられますよ。
川村 目の付け所がいいですね。他にこだわった点は?